ヒトリエ、『Amplified Tour 2021』の熱量を全て出し切ったファイナル公演 “3人の音”で交わした観客との約束

ヒトリエ、3人の音で交わした観客との約束

 「うつつ」の余韻がフロアに漂う中、シノダの「ヒトリエの始まりの曲」という紹介とともに流れ込んだのは「カラノワレモノ」。オーディエンスのジャンプがフロアに大きな波を生み出していく。さらに「トーキーダンス」、そして「wowakaより愛を込めて!」という口上とともに「アンノウン・マザーグース」へ……wowakaが、そして4人のヒトリエが遺したキラーチューンを連打していく展開に、会場も一気に盛り上がる。しかしその名曲たちもまた今3人で鳴らすことによって、シノダが歌うことによって、やはり新しい形へと更新されている。その違いがむしろ今のヒトリエの強さを体現しているようで頼もしかった。けたたましいギターに乗せて突っ走るロックンロール「Marshall A」を経て、ライブはいよいよクライマックスに向かっていく。

「声なんて出せなくていいんだ。僕たちとあなたの関係性は何も変わらない。3分29秒あれば充分だと思わないかい?」

 そんなシノダの言葉とともに最新シングル曲「3分29秒」へ。ギター、ベース、ドラム、3つの音がガツンガツンとぶつかり合うようなこの曲にロックバンドのプライドがにじむ。

 終盤、「青」をでっかく響かせると、「旅が終わっちゃうなあ。でも、いい旅でした。胸を張って言える。心の底からそう思えるツアーができたと思っている」とこのツアーの手応えを語るシノダ。「精一杯の感謝を込めて、僕たちのこれからの曲を」。そうしてギターの弾き語りから始まったのはイガラシ作曲の「イメージ」。『REAMP』の中でも際立つ美しさを湛えた曲だ。どっしりとしたゆーまおのリズム、流れるようなイガラシのベースライン、そして感情が迸るようなシノダの歌とギターが、大きな風景を描いていく。3人で目を合わせて曲を終えると、本編最後はゆーまお作曲の「YUBIKIRI」。〈それじゃ今日はここでおしまい/きっとまた声聞かせて〉というフレーズが、文字通りヒトリエとファンの“約束”として放たれた。

 アンコールでは名残惜しそうにメンバー同士で言葉を交わしながら、「やり切りました!」と達成感も覗かせていたシノダ。コロナ禍の情勢で不安定な中でも、1本も中止せずにツアーを完走できたことにゆーまおも手応えを感じているようだ。そしてグッズ紹介を経て「アンコールやっちゃいますか」とシノダが手に取ったのは、ここにきてまさかのサブギターである緑のテレキャスター。「使うの?」というイガラシのツッコミにもめげず、フロアに「また会えるから」と語りかけ、かき鳴らしたのは「ポラリス」。眩い光に照らされながら、叫ぶように歌われたこの曲が、ここからまた進んでいくヒトリエの決意をひしひしと伝えてきた。

■セットリスト
『ヒトリエ Amplified Tour 2021』
2021年7月7日(水)@心斎橋BIGCAT
M1  センスレス・ワンダー
M2  curved edge
M3  ハイゲイン
M4  bouquet
M5  Loveless
M6  tat
M7  うつつ
M8  カラノワレモノ
M9  トーキーダンス
M10  アンノウン・マザーグース
M11  Marshall A
M12  3分29秒
M13  ⻘
M14  イメージ
M15  YUBIKIRI
EN1 ポラリス

ヒトリエ 公式HP

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