アユニ・D×エリザベス宮地、ドキュメンタリーに刻まれたPEDROの軌跡 撮る/撮られることで生まれた“尊重と覚悟”とは?

アユニ・D×エリザベス宮地 特別対談

「愛のないヤツは何をやってもダメだ」(アユニ)

ーーアユニさんは宮地さんにカメラを向けられている時、どのように振る舞えばいいのか考えたことはありますか。

アユニ:宮地さんと出会った当初は気にしていました。言いたいことを言わないでおこうとか、この人とは仲良くならないでおこうとか、勝手にバリアを張っていた。だけど、ずっと一緒にいてくださる時間が増えて、何も考えなくなりましたね。たぶんカメラがどうこうというよりは、人間関係の変化が大きいと思います。

宮地:そのまま映像に出ますからね。撮る側も撮られる側も、お互いに仕事だと割り切れたら楽な部分もある。だけど僕の撮り方はそうではない。相手と自分の人間関係の距離がそのまま出る撮り方をしているから、アユニちゃんが言ってくれた通りだと思います。

ーーそもそもバンド結成からカメラを回すのはPEDROが初めて、とおっしゃってましたよね。

宮地:普通はそんな機会ないですよね。それにベースを買うところからカメラを回せるなんて、僕自身も貴重な経験をさせてもらいました。

ーー撮影を通して気づいたアユニさんの魅力は何でしょう?

宮地:とにかく好奇心がすごい。ベースを始めたきっかけも、最初は大人の人に言われたからじゃないですか。僕も高校卒業後、上京するつもりはなかったけど、親や先生に「高知にずっといるんじゃなくて、一度都会を見てくれば?」と言われてカメラと出会った。友人の石川竜一(第40回木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家)もそうですけど、誘われてとりあえず行ってみようと思う派で。そこで新しい出会いがあったりして、どんどん広がっていった。同じように、アユニちゃんの飛び込む勇気はすごいなと思います。

アユニ:飛び込む勇気じゃないです。逃げる勇気がないから、言われたまま動いちゃうだけ。

宮地:それでも逃げる人は逃げますよ。

アユニ:逃げられる人の方が強いですよ。

宮地:でも、それはどっちが良い悪いとかはないのかなって。何より、アユニちゃんはベースと出会えたわけで。だから今後も誰かに誘われて、ちょっとでも興味があれば飛び込んでみたら、また世界が広がるかもしれない。

アユニ:宮地さんも私の世界を広げてくださった1人ですよ。石川さんと出会わせてくださったのも宮地さんですし。

宮地:(石川竜一は)最高ですよね。アユニちゃんには最高な人しか紹介してない。

アユニ:幸せですよ。最高な人は最高な人としか出会わないと思う。だから宮地さんも最高な人ってことです。

ーー宮地さんの友人に出会うことで、よりエリザベス宮地という人物が分かるのかなって。

アユニ:そうですね。宮地さんって他人に好きが溢れている方であると同時に、人間を雑に扱わない人だと思うんです。当たり前のことかもしれないけど、出来る人って実は少ない気がして。私は口癖のように言ってる言葉があるんですけど、「愛のないヤツは何をやってもダメだ」というのはBiSHやPEDROを通して感じた、一番大きな気付きなんです。それは宮地さんに気付かされたと言っても過言ではなくて。

宮地:それで言うと、「相手を大事に出来ないヤツは、自分も大事に出来ない」というのは自分との約束事にしていて。基本的に目の前にいる人は自分の鏡だと思っているし、出会う意味が必ずあるはずだと信じてるんです。

「撮るというのは“しっかり生きる”こと」(宮地)

ーーそんな宮地さんにとって「撮る」とはどういうことですか。

宮地:大前提として、コミュニケーションを図る上でカメラはない方が良いと思ってます。ただ、カメラがあるからこそ生まれるものがあって。

ーー生まれるもの?

宮地:それは“覚悟”。やっぱり素でいるよりも覚悟がある方がいいですし、僕もカメラを向けて覚悟を与えているわけで。その関係だからこそ生まれてくる言葉がある。「撮る」「撮られる」というのは、お互いに許すということですし、お互いを尊重すること、お互いを傷つけること、お互いを抱きしめることでもある。それを全部踏まえて「撮る」って、僕の中では“しっかり生きる”ということなんです。

アユニ:今、すごくハッとさせられました。

ーーアユニさんにとって「撮られる」とは何でしょう?

アユニ:このお仕事をしている上で、撮られることは自分にとっての使命だし、アユニ・Dとしては切っても切れないものだと思います。ただ、それはカメラという機材に対して思うだけで、そこには撮ってくれる人間がいるってことだから。私もちゃんと相手を大事にして、ちゃんと自分が愛を持って接しないと自分のことも嫌いになっちゃう、と思っています。

ーー改めて『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』に映っている3年間を言葉にするなら、どのような時間でしょうか。

アユニ:たった3年、されど3年という言葉がしっくりくるなと思っていて。誰も見ていない部屋の中で、自分1人が見てきた景色や考えてきたこともたくさんあるんですけど。宮地さんの映像には、カメラに映ってない部分でさえも映っているかのような。現時点までの人生がリアルに映し出されている「私の人生まとめ」のような記録映像だと思います。

宮地:アユニちゃんがバンドマンになっていく過程でもあり、PEDROの3人がバンドになっていく過程。特典映像に入っている『SOX&TRUCKS&ROCK&ROLL TOUR』から感じていたのですが、もうPEDROはバンドだなと思いました。これまでは周りの人たちが3人の間を取り持っていたけど、それも必要なくて。アユニちゃんがさっき「コミュニケーションを築けたきっかけが、田渕さんのことを僕に話せたから」と言っていましたが、もう3人だけで話せるから、そこに仲介人はいらなくなってる。3人の関係が出来上がった3年間だと思います。

アユニ:その言葉はすごくしっくりきます!

宮地:1つ聞いてもいいですか。武道館公演ってアユニちゃんにとって、どういうものでした?

アユニ:2年前の『DOG IN CLASSROOM TOUR』の打ち上げで、赤窄さんが「次は武道館に立ちます!」と言った時、「そんなの無理に決まっているじゃないですか」と私が言い返しましたよね。それくらい、自分の中で武道館に立つことが非現実的なことだった。だけどチームの方々、宮地さん、赤窄さんなど皆さんに支えられてPEDROを続けられて、武道館にも立てた。続けるって本当に大事なことだなって気づけたのが、一番大きかったです。何十年も音楽を続けている人がいますけど、その中には数え切れないほどいろんなことが起きていて。挫折して辞めようと思ったりもしただろうけど、続けたら何かしらの成果が形に表れる。私もこの数年間、バンドを続けられたから武道館に立てた。これからもPEDROと音楽を続けたいなと思いました。

宮地:集大成じゃなくて、これから先が見えたライブだった。

アユニ:そうですね。武道館に立てたから良い、とか一切思ってないです。まだ始めてたったの3年だし、今後どうなるのか分からないですけど、まだまだPEDROはこれからだなって思います。

サイン入りチェキプレゼント

アユニ・Dサイン入りチェキを2名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。

応募方法

リアルサウンド公式Twitterと公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※チェキはランダムでの発送となりますので、メンバーの指定は受け付けておりません。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

リアルサウンド 公式Twitter
リアルサウンド 公式Instagram

<締切:7月10日(日)>

■リリース情報1
PEDRO Documentary Film『SKYFISH GIRL -THE MOVIE-』
2021年7月7日(水)発売 予約はこちら
◉初回生産限定盤 デジパック仕様(Blu-ray+Photobook)¥5,500(税込)
・フォトブック(100P予定)同梱
・『Document of SOX&TRUCKS&ROCK&ROLL TOUR』収録
◉通常盤(DVD)¥4,000(税込)

■リリース情報2
PEDRO LIVE Blu-ray / DVD『生活と記憶』
2021年7月7日(水)発売 予約はこちら
◉ 初回生産限定盤BOX仕様(Blu-ray+SG+2CD+Photobook)¥11,000(税込)
・2021.02.13 Live at Nippon Budokan『生活と記憶』映像・音源完全収録
・アユニ・D作詞作曲のNew Single「夏」収録
・PEDRO初のオーディオコメンタリー(アユニ・D×田渕ひさ子×毛利匠太による副音声)
・フォトブック同梱
◉ 通常盤(DVD)¥4,950(税込)
・ライブ映像のみ

<2021.02.13 Live at Nippon Budokan『生活と記憶』>
01 自律神経出張中
02 猫背矯正中
03 来ないでワールドエンド
04 WORLD IS PAIN
05 愛してるベイベー
06 後ろ指差すやつに中指立てる
07 GALILEO
08 pistol in my hand
09 ボケナス青春
10 うた
11 浪漫
12 へなちょこ
13 無問題
14 Dickins
15 丁寧な暮らし
16 ゴミ屑ロンリネス
17 SKYFISH GIRL
18 EDGE OF NINETEEN
19 生活革命
20 空っぽ人間
21 感傷謳歌
22 東京
-ENCORE-
23 乾杯
24 日常
25 NIGHT NIGHT

PEDRO / LIVE Blu-ray & DVD「生活と記憶」+Documentary Film「SKYFISH GIRL -THE MOVIE-」[OFFICIAL TRAILER]

PEDRO オフィシャルサイト

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