“心の中にある陰り”を歌う、Little Black Dress初インタビュー 平成生まれの彼女が歌謡曲に惹かれた理由

LBD、初インタビュー

成田昭次、船越英一郎……レジェンド達との共演

ーーMISIAさんをはじめ、「哀愁のメランコリー feat. 成田昭次」では元・男闘呼組の成田昭次さん、「心に棲む鬼」は作詞家・及川眠子さん、作曲家・馬飼野康二さん、編曲家・船山基紀さんが提供、同曲のMVでは船越英一郎さんと共演など、大御所の方々と接することが多いですが、そういう時に心がけていることは何ですか?

Little Black Dress:堂々とすることです。自分に自信が無いまま接するのは、お相手に対して失礼にあたると思って。自分なりの誠意を持って準備をして、Little Black Dressとしてお相手と同じくらいの気持ちでステージに立てるように自分を高めて臨むことが誠意だと思っています。でも皆さんとても優しくて。何十年も第一線で活躍されている方は、表に立つ方に限らず皆さん優しいです。そういう人とのご縁には、すごく恵まれていると思いますね。

Little Black Dress「哀愁のメランコリー feat.成田昭次」MUSIC VIDEO
Little Black Dress「心に棲む鬼」MUSIC VIDEO

ーーLittle Black Dressというアーティスト名も、春日大社で信藤三雄さんに付けてもらったんですよね。

Little Black Dress:はい。写真を撮っていただいたんですけど、事務所の社長が「名前を付けてやってください」とお願いをしてくださって。その時私は、真っ黒のミニのワンピースを着ていて、それを見て「じゃあLittle Black Dressがいいんじゃないか」と。

ーーそう付けてもらった時は、どう思いましたか?

Little Black Dress:「自分だな」って、すごくしっくりきました。黒はゴージャスにも見えるけど、漆黒とか悪をイメージする黒もあったり、二面性を持っていると思うんです。それが自分の音楽の世界観を表す意味でも、すごくぴったりだなと思いました。それにLittle Black Dressは、もともとはココ・シャネルが作ったファッション用語で、黒一色で装飾の少ないドレスのことを指す言葉なんです。もともと喪服のイメージだった黒のドレスを、オシャレなものにしたのがシャネルで、映画『ティファニーで朝食を』などでオードリー・ヘップバーンが着ているのもそれです。だから、すごくオシャレな名前なんです!

ーーLittle Black Dressさんの楽曲は、かっこいいロックやおしゃれなサウンドもあれば、優しくドラマチックに歌うバラードもあって、まさしく二面性を持っている。そのかっこ良さと包み込む優しさの両面を持っているところは、どこか山口百恵さんっぽいと思いました。信藤さんは、令和の山口百恵を作ろうとしているのかと。

Little Black Dress:実はそうなんです。ジャケットなどのビジュアルは、山口百恵さんと女版ジュリー(沢田研二)が、裏テーマとしてあって。

ーー山口百恵さんの曲で、どの曲が好きですか?

Little Black Dress:バラードが好きで、宇崎竜童さんと阿木燿子さんご夫妻が作られた「さよならの向う側」、谷村新司さんが作られた「いい日旅立ち」、さだまさしさんが作られた「秋桜」。この3曲は、百恵さんの三大バラードとして大好きです。

ーー「プレイバックpart2」などのロック系ではないんですね。

Little Black Dress:もちろんどちらの面も好きで、自分が歌うとしたら「プレイバックpart2」や「ロックンロール・ウィドウ」などロック系で、聴くのはバラードが好きという感じです。少し前にテレビで伝説の『さよならコンサート』が放送されて、「百恵さんは何を言ったんだろう?」と気になって、MCを一字一句もらさず書き起こしました(笑)。

ーーちょっとした山口百恵オタクですね。

Little Black Dress:百恵ちゃんオタクです(笑)!

ーーその山口百恵さんなど、歌謡曲を聴くようになったきっかけは何でしたか?

Little Black Dress:祖母が車で、いつも歌謡曲や70年代のGSをかけていて、よく熱唱していました(笑)。ザ・フォーク・クルセダーズさんの「帰ってきたヨッパライ」なんか、「この曲面白い!」って歌っていました。

ーー「イムジン川」とか?

Little Black Dress:「イムジン川」も好きですし、そういうフォークソングは母が好きで。母と車に乗った時は、中島みゆきさんがよくかかっていました。私自身がそういうちょっとマイナー調の曲が好きなのは、祖母や母からの遺伝なのかなって思います。

ーー当時の歌謡曲のどういう部分に魅力を感じますか?

Little Black Dress:質の高さです。作詞家、作曲家、編曲家、シンガー、プロデューサー、ディレクターなど、それぞれの分野のプロが集まって作られた、プロフェッショナルな作品であるというところ。

ーーアルバム収録の「心に棲む鬼」は、作詞:及川眠子、作曲:馬飼野康二、編曲:船山基紀で、まさしくプロフェッショナルが集まって作られていますね。

Little Black Dress:はい。この曲とは偶然のご縁があって、私の曲を担当したディレクターさんと馬飼野先生とが、4年前くらいに作られた曲だそうです。それで、この曲に合うシンガーを探されていて、たまたま「歌ってみないか?」とチャンスをいただきました。そこで、これもたまたまのご縁で眠子さんに歌詞を書いていただき、せっかくでしたら編曲は船山さんにお願いしようとディレクターさんが提案してくださって。Winkさんを手がけたタッグが揃って、「とんでもないことになってしまったな~」と、成り行きに驚愕しながら完成した曲です。

ーー歌謡曲には、昭和の時代の世相とか文化が切り取られています。Little Black Dressさんの『浮世歌』も、今の時代を切り取っている作品だと思いました。そういう意味で、歌謡曲を今に置き換えると、『浮世歌』と言えるかもなと思いました。

Little Black Dress:ありがとうございます。浮世、つまり移り変わりが激しい今の世の中を生きる人たちに寄り添う歌が詰まったアルバムです。

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