音楽ライブやフェス、3度目の緊急事態宣言で迫られる開催判断 積み重ねてきた感染者ゼロの実績

音楽ライブ、緊急事態宣言で迫られる決断

 本日4月25日から3度目の緊急事態宣言が発令された。今回は東京、大阪、兵庫、京都。大規模なイベントは原則として無観客にするよう要請が出された。コンサートプロモーターズ協会では、来場予定の観客への周知が徹底できないことや無観客での配信ライブの準備が不可能であるとし、25日の公演に関しては全国各地で95公演、一都二府一県(東京、大阪、京都、兵庫)にて34公演が開催予定であることを発表している(※3)。一方で、宣言地域を中心に中止や延期を決めたコンサートやイベントも出てきている。4月30日から5月2日まで宮城にて開催される予定だった『ARABAKI ROCK FEST.』は24日に中止を発表した。「感染者を出さずに安全であることを結果で示そう」と運営が努力し観客は協力し、対策を徹底してきたことは評価されなかった。ライブへの風評被害や偏見が今も存在するということだろう。

 サカナクションやKANA-BOONが所属するHIPLAND MUSIC CORPORATIONの野村達矢氏は自身のTwitterで、緊急事態宣言解除以降ライブ・コンサートの場からコロナ感染者の報告が0であることを伝えている。

 感染症対策を徹底したことが結果として表れているのだ。また市場の8割以上を失ったライブエンタメ産業は、厳しい現状であることを当事者の立場から赤裸々に語っている。実際にコロナの影響で閉店したライブハウスや、解散したバンドやアイドルも少なくはない。失業した関係者もいるはずだ。

 ライブも音楽フェスも誰もの生活に必要なものではない。しかしそこで働き収入を得ている人にとっては必要で人生に関わる大切なものだ。他の業種と同じように世の中に必要な仕事である。音楽によって心の健康を保っている人もたくさんいる。コロナに感染せず健康な体でいることは最重要ではあるが、心の健康も大切なはずだ。

 人の流れを止めることや密集しないことは感染症対策において重要だろう。絶対的にライブ会場が安全とは言い切れない。しかしラッシュ時の電車よりもソーシャルディスタンスが保たれている会場で、誰も喋らずに静かに観るライブやコンサートが、他の場所と比べて特段に危険なのだろうか。それについては疑問を感じる。

 この1年間で感染者を出さずにライブは開催できた。ライブ会場だから危険というわけではないことは、結果で証明してきたはずだ。イベントを開催することが絶対的な正解ではないかもしれない。中止にすることへのメリットもあるかもしれない。しかし危険性についてはイメージではなく結果を見て判断してほしい。

(※1)https://corporate.pia.jp/news/detail_covid-19_damage210224.html
(※2)https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta20210416_fes.html
(※3)https://www.acpc.or.jp/activity/newcoronavirus/news20210423.php

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
ブログ:https://www.ongakunojouhou.com/
Twitter:https://twitter.com/houroukamome121

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