DEEP SQUAD、“悲恋”を歌う美麗なコーラスワーク MVでの若手メンバー演技シーンにも注目

 この曲で歌われている悲恋のストーリーにおける主人公は、報われないと分かっていた相手に恋をしてしまい、言葉にすればたった2文字(“2words”)の「好き」という感情にとらわれている。〈ダメな理由〉〈君と一緒にいる理由/いられない理由〉〈会えない理由〉など、たびたび出てくる〈理由〉で表される理性の部分と、どうしようもない感情の部分で揺れ動き続けるのは、そもそも初めから相手が自分とは異なる温度でいて、決して通じ合えないという現実があるからだ。この曲のような恋愛を愚かに感じる人も少なからずいるかもしれないが、楽曲全体から感じられる温かい風合いからは、そんな関係性の中でも理屈にならない大きな意味や価値が存在するという希望を表しているように感じられてならない。というのも、奇跡的につながれた関係性がたとえ失われたとしても、奇跡が起きた事実はその後も残るからだ。

 楽曲の後半では〈全部なかったことになってく〉という詞もあるが、前段のことを加味しても、この曲の中の恋愛は決して“全部なかったことに”はならないはずだ。ただ、MVの中の描写からみても、「2words」の現在軸にいる主人公はおそらくまだその確信を得られていない。もしかすると、その「好き」が完全なる過去形に変化したとき、初めてそのことに気が付くのかもしれない。

 多くの人が経験した覚えがあるだろう、他者との関係性における葛藤を表現した「2words」とMVは、どちらかというと前向きなメッセージ性の強い楽曲が多かったDEEP SQUADの作品として、また新たな一面を表現した一作となった。また、柔らかい音色の中に適度な抜け感がある聴き心地よいサウンドも魅力なので、より幅広い世代に彼らの歌声が溶け込んでいくことを期待したい。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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