Maroon 5があらゆるオーディエンスの欲求を満たす 「One More Night」などヒット曲連発の配信ライブ

Maroon 5、配信ライブレポ

 ここで再び質問コーナー。「ライブで演奏するのが好きな曲は?」という質問に、ジェームスは「The Sun」、アダムは「Sunday Morning」。「自分が書いた詞で一番好きなものは?」の問いには、アダムが「素直な気持ちで書いた『She Will Be Loved』」と回答。最後に「この一年で学んだことは?」と問われると、アダムが「何が大切なのかを考えさせられた」と気持ちを吐露する。

 続く「Moves Like Jagger」は、再びアダムとジェームスがアコースティックで綴る。そして、バンドによる「Sugar」。この曲でのアダムのファルセットを織り交ぜた唱法には、フィリップ・ベイリーやブライアン・マックナイトを彷彿させるような“色気”が宿っている。次第にジェシー、サム、PJ、マットの演奏も熱を帯びていき、ジェームスも熱いギターソロを披露するなど、ここでもソウルとロックが滑らかに溶け合う。ひとしきり盛り上がったところで、アダムの「サンキュー」の声と共にライブはあっさりと終わる。あまりの呆気なさにむしろ余韻がすごい。

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 ロック、ポップ、ファンクやソウル、AOR他を好むリスナーなど幅広い層のニーズに応えてきた彼ら。このショウでも、“Maroon 5節”を維持しつつも随所に工夫を凝らしながら多様な音楽性を提示し、あらゆるオーディエンスの欲求を回収していた。さらには、そんな“離れ業”を、親密な空間でさり気なくやってのけたところにMaroon 5の強みを感じる。今回は、多様な嗜好のファンの受け皿となるだけでなく、コロナ禍でライブに飢える多くの音楽ファンの期待をも背負ったものになったのではないだろうか。Maroon 5がそんな大きな期待に応えられる数少ないバンドであることを改めて感じたライブだった。

■石川真男
レコード会社制作~NY勤務~ブラジル遊学などを経て、現在は音楽関係の執筆/翻訳/作詞などに携わる。電子書籍『石川真男の3万字インタビューシリーズ』(otoCoto)執筆、『レッド・ツェッペリン・ヒストリー~ミュージアム・ブック』(ワーナーミュージックジャパン)翻訳、デヴィッド・ボウイ『カンヴァセーション・ピース』ライナー翻訳、澤野弘之「The Moment Of Dreams」作詞など。歌詞対訳は6,000曲以上。

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