THE ALFEE、武道館を“独り占め”にしたキャリア初の無観客ライブ ファンへ熱と思い届けた圧巻のステージ

THE ALFEE『俺たちの武道館2020』レポ

THE ALFEE 桜井賢
桜井賢

 最新シングル曲「Joker -眠らない街-」も、この日のライブの大きなポイントだった。ドラマ『記憶捜査2~新宿東署事件ファイル~』の主題歌としても話題を集めたこの曲は、桜井がメインボーカルをとるミディアムチューン。ドラマティックなメロディ、〈自分の殻を打ち砕き/心の闇を光で照らそう〉に象徴される前向きな歌詞、さらに重層的なハーモニーや華麗なギターソロを含め、THE ALFEEの良さがバランスよく詰まったこの曲は、新たなライブアンセムとして認知されることになりそうだ。『Joker -眠らない街-』はオリコンランキングで3位を記録。「(キャリアの)長いバンドが、旬なアーティストに交じってチャートに入るのも悪いことじゃない」という高見沢の言葉も心に残った。

 飛行機が飛び立つ音から始まり、高見沢が麗しいハイトーンボイスを響かせたハードロック調のナンバー「哀愁は黄昏の果てに」からライブは後半へ。エッジの立ったサウンドと緻密なアンサンブル、ダイナミックな旋律が一つになった「Dark Side Meditation」では、“THE ALFEE流のプログレ”と称すべき音像を生み出してみせる。ダブルネックのアコギを弾きながら、“自分の壁を越えろ”というメッセージを込めた歌詞を強く響かせる坂崎の歌声も素晴らしい。

 本編ラストは「Gate of Heaven」。組曲「展覧会の絵」より「プロムナード」をイントロに据えたこの曲は、もっとも壮大なスケール感を備えた楽曲の一つ。70年代ハードロックと歌謡曲を融合させながら、唯一無二としてか言いようがないサウンドスケープへと結びつける。高見沢のギターソロ、坂崎のフォーキーな歌声、男気に溢れた桜井のボーカルなど、3人の個性がぶつかり合うパフォーマンスも強烈だった。

 武道館にアンコールを求める声がこだまし、3人は再びステージへ。夕陽を思わせるライティングのなかで、まずは「My Truth」を披露。3人が声を重ねて歌った〈あの頃にもう一度帰りたい〉というフレーズは、コロナ禍で思うようにライブができない現状において、さらに強い意味を帯びていた。それは「『My Truth』は87年のシングル、33年前ですけど、あの頃より今のほうが心に響く感じがしますね」「いろいろありましたけど、同じ夢を追いかけ続ける仲間がいるのは救いですね」という高見沢の言葉からも明らかだ。

 ここで3人は、今回の配信ライブへの思いを改めて語った。

坂崎「初めてだから、見慣れない風景というか。ただ、またこうして武道館をやらせてもらえたということ。来年からぜひぜひ、みなさん集まっていただいて、武道館を続けたいと思いますね」

桜井「2年ぶりですか、武道館に来たのは。本当に贅沢な……我々は37年やってきたわけですから、こういう使い方をしても武道館は怒らないと思います。来年もぜひお世話になります」

高見沢「(武道館での公演は)バンドとしては僕らが最多ですから。まだまだゴールは見えてないTHE ALFEEですけど、50周年を目指してがんばりたいと思います」

 フォークロック調の「OVER DRIVE」と〈君の愛は手離すな〉と観衆を鼓舞するパワーソング「夢よ急げ」をつなげた後、「さあ行くぞ! 俺たちの武道館! 俺たちとみんなの“SWEAT&TEARS”!」(高見沢)というコールからラストの「SWEAT & TEARS」へ。解放的なメロディ、とことん前向きなリリックが鳴り響き、武道館全体がポジティブな力で満たされていく。THE ALFEE最大のアンセムが高らかに鳴り響くなか、ライブは大団円を迎えた。

 アフタートークで3人は、「(配信ライブと)人前でやるのは全然違う」(坂崎)「我々はトラベリングバンド、ライブバンドですから」(桜井)「やっぱり生の反応がほしいよね」(高見沢)と、有観客ライブへの思いを言葉にした。今回の配信ライブによって、日本最高峰のライブバンドとしての実力を改めて示した3人。50周年に向けて、普段通りのツアーが再開できることを心から願う。

■ライブ情報
『Come on! ALFEE!! Special 俺たちの武道館2020』
3月27日(土)配信、4月4日(日)23:59までアーカイブ配信
4月3日(土)23:59までチケット購入が可能
配信詳細

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