風男塾、愛刃健水が次世代に笑顔で渡したバトン 卒業公演を徹底レポート

風男塾、愛刃健水卒業公演レポ

 5年の付き合いだという真咲には、「(新メンバーが続々と入ってくる中で)俺も先輩にならなきゃと思って、1人で考えることが多かったんですけど、やっぱり1人じゃ考えられないこともあったりして。そんな時に頼ってたのが真咲でした」「一緒に考えて、一緒に答えを出してくれるメンバーでしたね」と語りかける。だが、しんみりしたのもつかの間、真咲が「俺からも健水くんに伝えたい気持ちはたくさんあるんですけど、言葉にしようと思うと出てこないので、曲で伝えたいと思います。聞いてください」と口にしたのを合図に、突然走り出す2人。勢いよく制服を羽織り、演技を交えながら「センパイの彼女」を歌い踊ると、真咲は「健水くんと歌えたー!」と満足そうに叫んだ。続いて、健水と歌いたい曲として真っ先に浮かんだという「僕らの歩く道」へ。2人の絆を感じさせるハーモニーが、温かく会場を包み込む。健水の「最後まで笑顔でいたい」という想いを汲み取り、とびきりの笑顔を見せる真咲。健水はそんな仲間を愛しそうに見つめながら、その頭に優しく触れた。

 最後は、最新曲「青春」の衣装に身を包んだ関汰・凛空・アランが登場した。まずは「関汰はすっごく真面目すぎて、大丈夫かな? って思ってた。でも、すごく愛嬌があるやん。一歩扉を開いたら全開。大暴れ(笑)」と、関汰のバラエティ魂を大絶賛。繊細な性格の凛空には、昔の自分を重ねながら、「自信を持ちなさい。自信がないなら努力する。そのまま自分を信じてまっすぐいけば大丈夫」とアドバイス。独特な空気感を持つアランとは、韓国語での漫才(?)を繰り広げ、笑いを誘った。キャラの濃い新メンバー達が、楽曲だけでなく、MCにも新たな風を吹き込んでくれそうだ。そして、健水のメンバーカラーである水色で統一された7人は、健水の卒業ソング「青春」を披露。落ちサビでは、旅立つ健水の背中にみんなでエールを送る。

 真咲のシャウトから突入したのは、風男塾の代表曲「同じ時代に生まれた若者たち」。マイクスタンドの前に仁王立ちして、全身から絞り出すように声を張り上げるメンバーの姿は、悩みながらも泥臭く突き進んできた健水の“青春”そのもの。「BE HERO」では、健水のフェイクと6人のユニゾンが絡み合う。“愛刃健水”という多くの人に愛されたHEROは、新たな世界を見据えるように、〈歩いてくのさ〉というフレーズでこの曲を締め括る。「BE HERO」が武器屋桃太郎のラストソングであったように、続く「証-soul mate-」は青明寺浦正と赤園虎次郎のラストソング。かつて卒業した仲間達を見送った楽曲達が、健水がネクストステージに向かうための花道を彩った。

 「青春」のMVでも、メンバーのサプライズ演出に涙していた健水だが、この日も“真咲がメンバーを代表して手紙を読む”という演出が待ち受けていた。瀬斗光黄の卒業時に、健水と一緒に頑張っていこうと語り合ったこと。メンバー達と過ごした日々のこと。これまで一緒に見てきた素晴らしい光景のこと。大切な思い出と共に、直前までなんとか堪えていた真咲の涙が溢れ出す。最後は6人からの「健水くん、ずっとずっと大好きです!」という愛の言葉が健水にプレゼントされ、健水も「大好きです、俺も! ずっと笑ってて!」と笑顔を輝かせた。また、すべての人への感謝を込めた「七色の鳥」では、ソロパート前の凛空の背中に健水が手を添えたり、確実にスキルアップした雅のソロ歌唱を嬉しそうに聴いていたり、健水とメンバーの関係性が見える場面も。本編ラストの「雨ときどき晴れのち虹」を歌い終える頃には、清々しい笑顔の7人が寄り添っていた。

 アンコールで再びステージに現れた健水は、初のソロ曲「忘れ雪」を情感を込めて歌う。本編中の客席には他のメンバーカラーもチラホラ見えていたが、ここでは3階席まで一面、水色の光の海――。観客の心遣いに、健水と風王が築き上げてきたものの大きさを実感したのか、その光景をじっと目に焼き付けた直後、急に込み上げた涙が健水の頬を濡らした。「忘れ雪」は元プロデューサーのはなわが手掛けたラブバラードだが、「俺の恋人は風王のみなさんなんで。風王のみなさんのことを思えば怖いものはないなと思って、この曲を心を込めて歌わせていただいております」と語る健水。いつも元気で明るいイメージの彼だが、10年という長い道のりの中では、じつは辞めようと思ったことがあるという。でも、「そんな気持ちになったことを今、後悔しています。みんなとこうやって過ごせて、ものすごく幸せでした!」と今の幸せを噛みしめ、「俺は(風男塾として)“最高”をたくさん更新してきました。ここからの人生はみなさんが“最高”を更新していってください」と、10年分の感謝を叫んだ。

 健水の煽りに拍手がどんどん大きくなる中、記念すべき一夜のラストを飾るのは「下を向いて帰ろう」。雅と関汰が手持ちカメラでメンバーの表情を撮影しながら、7人でにぎやかに歌い踊り、健水は約10年に渡って駆け抜けた“青春”に終止符を打った。

 それでも、最後はやっぱり、この言葉。

「それではみなさん、また一緒に遊んでください。以上、風男塾でした!それでは最後に……風っばーい!」

 6人が去ったステージに残った健水は、何度も何度も客席に頭を下げ、生声で「みなさん、幸せでした!本当にありがとうございました!」と絶叫。笑顔でポーズを決めると、イリュージョンのようにステージから姿を消した。最初から最後までサービス精神旺盛で、濃すぎるほどに愛情たっぷり。じつに愛刃健水らしい2時間半だった。

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる