yamaの歌声を目の前で聴いて 初ツアー『meaning of life』が告げた新時代のはじまり

yama初ツアー『meaning of life』レポ

 目に見えない脅威に沈黙した世界で突如浮上してきたyamaは、まさに2020年代を象徴する1人である。これまで音楽史はディケイド=10年単位で区切られ、それぞれの時代で流行り廃りが整理されてきた。そしてその時代ごとに生まれたアーティストたちは、隣合わさる中で各々の存在に興味を示す。泣き虫が手がけた「Hello/Hello」は、そんな2020年代の幕開けを物語るコラボ曲だ。淡い緑の照明を潜り抜けて届けられるyamaとバンドの音は、2010年代に別れを告げて、次なるディケイドのスタート=2021年を華々しく彩っていく。

 yamaをセンターに、その声が迷わずこちらに届くよう支えるバンドメンバーたちも、仮面の下できっと微笑んでいたのではないだろうか。アンコールで演奏された「名前のない日々へ」は、移ろいゆく季節の境目に佇む者たちを歌う。そんな心模様を歌うyamaの背中を、ギター、ベース、ドラム、キーボードは力強く押す。零れ落ちるほどの高揚感で満たされる会場、それを生み出したyamaと4人のミュージシャンは、表情は見えなくとも音楽の中で確かに笑い合っていたと思う。

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 そして、これまで記してきた全てが、ライブを締め括った「春を告げる」に集約される。歌う以上に言葉とメロディを鳴らし、情感を込めて、新しい時代のはじまりを仲間たちと共に祝う。皮肉も込められた6畳半の時代のアンセムは、ネットからテレビ、そしてライブハウスを通過して、これからさらに大きな舞台で歌われていくはずだ。

 発した二言、鳴らした14曲。間違いなくyamaはこの日私たちの目の前にいた。私たちはyamaを見つけ、またyamaも私たちを見つけることができたはずだ。

■セットリスト
yama 1st LIVE TOUR『meaning of life』
2021年3月27日(土)渋谷クラブクアトロ(1部)

01. a.m.3:21
02. Downtown
03. bin
04. 優しい人
05. ねむるまち
06. 麻痺
07. あるいは映画のような
08. クローバー
09. タルト
10. 真っ白
11. Hello/Hello
12. クリーム

En1. 名前のない日々へ
En2. 春を告げる

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