ももいろクローバーZの歴史を紐解く 第5回:有安杏果卒業、ももクロの決意

全モノノフが泣いた「よし、お前ら全員付いて来い」

 2018年秋には、映画『幕が上がる』の監督・本広克行が演出をつとめ、百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏が主演する舞台『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』が上演された。高校のダンス部に所属する部員たちの運命を描いた同作のなかで、退部するメンバーに向けた「それが正解!」という台詞があった。辞めることも正しいし、ダンスを続けることも正しい。実際のももクロの歩みに重なるような、この内容。活動初期は9人組でスタートし、メンバーの脱退を繰り返しながら4人になったももクロのすべての時代を肯定する、とても印象深い言葉だった。

 有安は卒業後、約1年の休養を経て芸能活動を再開。個人事務所を設立して歌手、写真家として活動している。2019年11月には結婚を発表。自分のペースで制作し、生活を送っている。その表情は、どこかやわらかかった。

 4人体制となったももクロは、5月22日、23日に結成10周年記念『ももいろクローバーZ 10th Anniversary The Diamond Four -in 桃響導夢-』を開催。初の東京ドームでの公演だった。2日間の合計動員は8万人を超えた。初日は「10年丸わかり」と題して120曲をメドレーで聴かせる、相変わらずの無謀なチャレンジを実施。2日目は「4人の覚悟」を示す内容。ライブ終盤、百田の“4人になることが分かったとき、真っ暗になりました。どうやって進んでいったら良いのか、分からなくなりそうな自分がいました。でも、今こうして東京ドームでのライブを迎えることができました。今なら自信を持って言える気がします。まだ4人でできることはたくさんある。やりたいこともたくさんある。ももクロだからできること、みんなとだからできることをちゃんとやっていきたい。アイドルが最強だって、ももクロって本当に楽しいって。よし、お前ら全員付いて来い!”の言葉に、すべてのモノノフの心が震えたのは言うまでもない。

 東京ドームでの公演では、1年後の2019年5月17日に5枚目のオリジナルアルバムをリリースすることを発表。さらに8月4日、5日にはZOZOマリンスタジアムで、前年の『ももクロ夏のバカ騒ぎ2017』に続いて東京オリンピック・パラリンピックを睨んだ『MOmocloMania2018 -Road to 2020-』を実施。ももクロの巨大化はライブ会場や出演イベント、共演者の規模感だけではなく、数年先の予定やスケジュールを意識するなど時間的な部分にまで及んできた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる