LiSA、アコースティック編成で1年ぶり有観客ライブ “新しい遊び方”を見つけていく冒険の始まり

LiSA、アコースティック編成ライブレポ

 しかしアコースティックだからといって、しっとりしたアレンジだけではない。「BRAND NEW YOU」では、ギターカッティングによるイントロから観客が手拍子で加勢。LiSAがハンドワイパーを促したり、観客に対して「素晴らしい!」と伝えたりする場面もあった。計8曲を15分に凝縮させたメドレーは、「あの曲もこの曲もやりたい!」という彼女の気持ちの表れのよう。一転、『ONLiNE LEO-NiNE』の「わがままケット・シー」に通ずる艶っぽい演出で魅せたのは「蜜」だ。ピアノの屋根に腰掛けたり横たわったりしながら緩急をつけて歌うLiSA。ピアノの演奏が激しくなるなか、上着を肩からはらりと落とすシーンで思わず息を呑んでしまった人も多いのではないだろうか。彼女は確かにシンガーだが、歌だけでなく、視線や動作までもがこの曲を表現する要素になっている。そういう意味でLiSAが“アーティスト”であることを実感させられた瞬間だった。

 シンガロングもコール&レスポンスもできない代わりに、「やくそくのうた」では歌詞の一部を〈さあ拍手をしようか〉に替えてみんなで手を叩いた。また、“後日おうちで思いっきり声を出そう”と約束した「best day, best way」には、タイムカプセルのようなワクワク感があった。バンドの楽しげな空気が画面から飛び出してきた「Rally Go Round」、サンプリングパッドを組み込んだお手製リズムマシーンを叩き観客とコミュニケーションをとるLiSAは、新しいおもちゃを手に入れた子どものように笑っている。やっぱり彼女は遊び場を作る天才なのかもしれない、と思っていたところで「楽しんだ者勝ちの『unlasting shadow』」と歌詞を替えたLiSA。MCでは「ここに来てくれた一人ひとりが叶えてくれた今日です。本当にどうもありがとう! できることは少しかもしれない。だけどきっとね、この先には最高の未来が待っていると信じています。そんな未来に今日はみんなが進めてくれた。大切な一歩です。まだまだ進んでいこう!」と観客に伝えた。ファンへの信頼、積もった想いを形にしたような新曲「サプライズ」に、ソロデビュー10周年イヤーへの期待も膨らむ。

 全曲終わってからの「『あ、やれることあるなあ、楽しいなあライブって』と思っちゃいました」という発言、そしてバックヤードでのサポートメンバーとの「希望が見えました」「やれるやれる!」というやりとりを聞けば、彼女が前を向いていることは明らかだ。「今日もいい日だっ」とみんなで声を合わせることはまだできないが、LiSAとともに新しい遊び方を見つけていく冒険が始まったのだと思えばそんなに悪くない気がする。むしろそれって楽しそうじゃん? と思わせてくれるのが彼女の一番の魅力だ。

■配信情報
『LiVE is Smile Always〜unlasting shadow〜』
見逃し配信:3月21日20:00まで
【Stagecrowd】
https://stagecrowd.live/s/live067/page/unlastingshadow?ima=0257
【LINE LIVE-VIEWING】
https://ticket.line.me/events/6217?u

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