UVERworld、フジファブリック……進化続ける日本のロックサウンド 最新作をレビュー

10-FEET『アオ』(通常盤)
10-FEET『アオ』(通常盤)

 2022年に結成25周年を迎える10-FEETは、20thシングル『アオ』で、どんなことがあっても前進する姿勢を改めて示している。表題曲は、ドラマ 24『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』(テレビ東京系)オープニングテーマに起用された、泥臭くて真っ直ぐなロックチューン。直線的なエイトビート、たっぷりと歪みを効かせたギターとともに放たれるのは、世知辛い社会を生きてきた人間が求める〈二回目の純粋さ〉。酸いも甘いもかみ分けたバンドだけが持ち得る、強い説得力がここにある。カップリングには、ドライブ感たっぷりのバンドサウンドのなかで孤独を抱えたまま、まだ見ぬ未来へと進もうとする意思を描いた「朝霧を抜けて」、攻撃的なベースライン、ヘビィなギターリフが炸裂する「タンバリン」を収録。一貫したスタイルと瑞々しい感情がぶつかり合う本作は、現在の10-FEETの状態の良さを証明していると思う。

10-FEET – アオ

 15周年アニバーサリーイヤーを“延長”し、記念碑的な活動を継続しているGRANRODEO。新作ミニアルバム『僕たちの群像』は、“オリジナルのショートムービー「ロストマインズ」をもとに新曲を書き下ろす”というスタイルで制作された作品だ。“事故で亡くなった友達がこの世界でやり残したことを探す”という高校生たちの姿を描いた映像にインスパイアされた楽曲は、過去の思い出を胸に、未来へと突き進む決意をテーマにしたロックナンバー「未来線を上って」、軽快なサウンドと思春期の初々しい恋愛感情が一つになったポップチューン「オレンジピール」、失って初めて体感した“君”への思いをエモーショナルに歌い上げた「その愛と死を」など5曲。切なさと瑞々しさが刻まれた映像作品とのコラボレ―ションによって、彼らの音楽世界は確実に広がったようだ。

GRANRODEO / ロストマインズ - 特報 (2nd Mini Album "僕たちの群像" より)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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