柏木由紀、変化するアイドル界の中で掴んだ自分らしさ 安心して楽しんでもらう存在へ

柏木由紀が掴んだ自分らしさ

アイドルとしてアップデートしていきたい

ーー今回のシングルをプロデュースしている渡辺淳之介さん率いるWACKも「仕掛け」で世間をざわつかせてきたグループですよね。

柏木:渡辺淳之介さんは「最初から注目されていたら、そんなことしなかった」と言ってました(笑)。まず振り向いてもらうところから始めなきゃいけなかった、ということですよね。

ーーWACKは以前からチェックしていたんですか?

柏木:楽曲がカッコいいなと思ってました。まさか関わることになるなんて想像もしていなかったので、お話をいただいた時はうれしかったです。

ーー今回のタッグは『TOKYO SPEAKEASY』(TOKYO FM)で渡辺さんと対談したことがきっかけということですが。

柏木:番組に出ることが決まっていた渡辺さんが私を指名してくれたところから始まったんですけど、本番中に秋元康さんの「渡辺さんに柏木をプロデュースしてほしい」というコメントがあって、話が一気に動き出したんです。タイミングが重なった結果だと思います。

ーー何されるんだろう? という怖さはなかったですか?

柏木:ちょっとだけありました(笑)。でも、普段なら歌えないような曲をいただけることは想像できたので、楽しみのほうが大きかったですね。

ーー曲を聴いた時に感じたことは?

柏木:今回リリースする3曲のほかにも音源を聴かせていただいたんですけど、どれもめちゃくちゃよくて。もっとWACK寄りの曲もあれば、もっとAKB48寄りの曲もあったんです。全部自分の曲にしたいと思うくらい感動しました。

ーー表題曲「CAN YOU WALK WITH ME??」は柏木さんがセレクトしたんですか?

柏木:そうなんです。すごく迷っていたんですけど、渡辺さんの推しが「CAN YOU WALK WITH ME??」と聞いて、そのうえで全曲聴き直したところ確かに表題ならこれだろうと。

ーーずっと歌ってきた秋元さんの曲とは、また違う点があったと思います。

柏木:AKB48では歌詞に描かれた主人公になりきって歌うことが多くて。学校の恋愛についての曲なんて、かなり記憶をたどらなきゃいけない。「夏休み明けの教室ってどんな感じだったっけ?」って(笑)。それが「CAN YOU WALK WITH ME??」では自分の気持ちをストレートに乗せて歌うことができたんです。自分が考えていることを曲にしてもらうのは初めての経験だったかもしれません。

ーー語尾が「~です」なのが印象的でした。

柏木:珍しいですよね。どれだけ長いファンの方にも基本的には敬語を使っているので、それも自分っぽいというか。「ついてこいよ!」というより、「申し訳ないけど、ついてきてもらっていいですか?」というテンションなので、すごく自分に合っているんです。この短期間で私のことをどうしてこんなに知ってくださったんだろうと思うくらい。

ーー聞き取りみたいなことがあったんですか?

柏木:LINEでアンケートのように「好きな映画」や「好きな本」、「目標にしている人」を聞かれました。それに、渡辺さんは過去のインタビュー記事もいっぱい読んでいただいたみたいで、私のことを知ろうしてくれたのがありがたいですね。

ーー逆に、柏木さんもWACKのことを知ろうと。

柏木:積極的に楽曲を聴くようにしました。みなさん個性があって、とくにBiSHのアイナ・ジ・エンドさんの声を聴いてると、「私には無理じゃないか」って。「こんなすごい才能の持ち主をプロデュースしている渡辺さんにどう思われるんだろう……」と不安になりましたね(笑)。

ーー実際、歌っていて難しいなと感じることはありましたか?

柏木:渡辺さんと作曲の松隈ケンタさんがレコーディングに立ち会ってくださったんです。普段とは違った環境で歌うことに緊張しすぎて。最初は全然上手く歌えませんでした。「『こんなもんか』と思われているに違いない」と負の連鎖に陥ってしまいそうになったんですけど、渡辺さんも松隈さんもすごく優しくて。「褒めて伸ばすタイプ」というか、いいアドバイスをたくさんもらったので、結果的には予定より早くレコーディングが終わったんです。「こういう歌い方をしてほしい」という細かいオーダーをいただいたんですけど、それって私のことを信用していなかったら言わないだろうから、「期待されているんだ」と自信につながりました。

ーー今後、渡辺さんに限らず、いろんな方にプロデュースされたい願望はありますか?

柏木:自分ひとりで考えるよりも新しく出会った方たちに刺激を受けながら作品を作ることが新鮮だったので、また新しい出会いがあってもいいのかなと思いました。まったくアイドルに曲を提供したことがない人と仕事をしても面白そうですよね。

ーー改めて、柏木さんはこれからもアイドルを続けていくんですよね。

柏木:はい。「ファンの方がいる」という前提ですけど。「元気をもらえます」みたいな声をいただける限り、自分もやっていて楽しいので続けていきたいと思ってます。

ーー柏木さんのnoteにも書かれていましたが、アイドルはどうしても「過程を見るジャンル」というか、アイドルとしてのキャリアを重ねた後にアーティストや女優になる、というのが一般的な認識かと思います。その中で、すでに自己を確立している柏木さんはアイドルとして何を見せていきたいと考えてますか?

柏木:アイドル人生の前半は総選挙もあって、ファンの方に支えていただく中で、どう結果を残すか、有名になるか考えていたんです。だけど、ここ数年はファンの方に「こうしてほしい」という望みはなくて、「ファンの方を楽しませたい」という気持ちだけなんです。「いっぱいCDを買わなくていいから」とか「これから特典が発表されるからまだ買わなくていいよ」と普通に言ってますから(笑)。「過程」を楽しみたい人は若い子を見るほうが楽しいかもしれないけど、私を見ていれば安定して楽しませる自信はあります。「ずっと歌い続けます」と言い切ってるアイドルを応援するのも安心感があっていいんじゃないかなって。

ーーアイドルの理想像はありますか?

柏木:ずっと松田聖子さんに憧れているんです。アイドルという立場で時代を作ったことがすごいし、結婚して子供が生まれてもステージに立ち続けて、ずっと応援し続けているファンもいて、ご本人がどう思っているのか分かりませんが、ずっとアイドルでいるじゃないですか。私もここから方向転換することってないと思うんです。35歳になって急に「アーティストになります」と宣言することはないじゃないですか(笑)。今後もアイドルとしてアップデートしていきたいですね。

ーー仮に何年か後にAKB48を卒業してもアイドルであり続けると。

柏木:はい。何年経っても「CAN YOU WALK WITH ME??」を歌える自分でいたいです。そう言っておいて急に変わったらすみません(笑)。

柏木由紀「CAN YOU WALK WITH ME??」Music Video

■リリース情報
『CAN YOU WALK WITH ME??』
発売:2021年3月3日(水)
【初回限定生産盤】価格:10,000円(税込) 
特典:未完成パズルピースセット(63ピース)、プレミアムイベント応募シリアルナンバー
【CD】
01.CAN YOU WALK WITH ME??
02.You and I
03 .Why don’t you??
04.CAN YOU WALK WITH ME??(off vocal ver.)
05.You and I(off vocal ver.)
06.Why don’t you??(off vocal ver.)

【Blu-ray】
「CAN YOU WALK WITH ME??」Music Video
「寝ても覚めてもゆきりんワールド ~ディナーショーでも夢中にさせちゃうぞっ♡~(special edit ver.)」

<Main Tracks> 01.ショートケーキ/ 02.クラス会の後で/ 03.てもでもの涙/ 04.PRIDE / 05.あなたに逢いたくて~Missing You~ 06.Birthday wedding / 07.Green Flash / 08.火山灰/ 09.遠距離ポスター/ 10.ジェラシーパンチ/ 11.Only today 12.ずっと 前から/ 13.あなたと私/ 14.夜風の仕業

<Bonus Tracks> 15.まちぶせ <Special Tracks> 17.CAN YOU WALK WITH ME?? 16.Rainy day 18.You and I

【通常盤】価格:1,300円(税込)
特典:パズルピース 1ピース封入(全7種類) 
【CD】
01.CAN YOU WALK WITH ME??
02.You and I
03 .CAN YOU WALK WITH ME??(off vocal ver.)
04.You and I(off vocal ver.)

柏木由紀 KING RECORDS OFFICIAL SITE

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる