aiko、スカパラ、Sexy Zone……J-POPの可能性広げた洗練アレンジ 最新5作品をレビュー

sumika『AMUSIC』(通常盤)
sumika『AMUSIC』(通常盤)

 “Amusia(失音楽)”“Amusement(娯楽)”“A music(音楽)”を合わせた『AMUSIC』をタイトルに冠したsumikaの3rdフルアルバム。「願い」(ドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』主題歌)、「イコール」(アニメ『MIX』オープニングテーマ)などのタイアップ曲からは、彼らが日本のメジャーシーンで確固たる存在感を得ていることが伝わってくる。アルバムのために制作された新曲にも、ポップミュージックの楽しさ、奥深さがたっぷり。アイリッシュ風のサウンドとともに“あなたの日常を照らしたい”という思いが広がる「Lamp」、古き良きAORを想起させる音楽性、メンバーの個性的な演奏センスが込められた「Jamaica Dynamite」、攻撃なギターとハイトーンボイスがぶつかり合うロックナンバー「白昼夢」。自由に音楽を楽しんでいる姿がありありと感じ取れることも、このアルバムの大きな魅力だろう。

sumika / 祝祭【Music Video】
大橋トリオ『NEW WORLD』
大橋トリオ『NEW WORLD』

 「ミルクとシュガー duet with 上白石萌音」を含む大橋トリオの通算15作目となるオリジナルアルバム。オーセンティックなジャズの風味を感じさせる「Favorite Rendezvous」、70年代のソウル、ファンクのエッセンスを捉えた「Butterfly」、ワウギターの心地よい響き、眩いホーンセクションを軸にしたシックなダンスナンバー「Paradise」など、ルーツミュージックに根差した音楽性、高度に洗練されたアレンジメント、質の高い演奏が一つになったポップアルバムに仕上がっている。しっかりと抑制を効かせ、メロディの良さや楽曲に込められた思いを伝えるボーカルも絶品。たとえば〈暗い夜のその先には/必ず陽は昇る〉(「何処かの街の君へ」)というフレーズにおける、強い感情が滲む歌声にも惹かれる。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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