花澤香菜、竹達彩奈、伊藤美来、佐倉綾音、水瀬いのり……『五等分の花嫁∬』で声優達が表現する、五つ子の個性と成長

 そして、最近改めて大きな変化に気付かされたのが、水瀬いのり演じる五女・中野五月。徹頭徹尾真面目な印象が強い彼女だが、『∬』第7話の終盤に一瞬インサートされた夏祭りのシーンで、いつの間にか彼女が風太郎に向ける言葉の温度感が変化していたことに気付かされる。

TVアニメ『五等分の花嫁∬』ノンクレジットED

 思い返せば、五月への風太郎の第一印象は最悪なもの。ゆえに初期はその言葉には、どうしても自然と棘や冷たさが込められていた。だがそれから様々な出来事を通して、五月は徐々に心を開いてきた。そして水瀬はその時々の心情に寄り添い、演技を通じて形にしていく。そうして少しずつ変化し積み上げてきたからこそ、振り返ったタイミングでハッとするほどの大きな変化に気付かされたのだろう。しかもその結果、五月は物語上でコミカルな表情をみせることも増える。そうしたちょっとしたシーンに加え、会話中の言葉はもちろん合間の息遣いなども含めた表現で、水瀬はマイナスからプラスに変わった“中野五月”の感情を描いているのだ。

 ここから五月がもう一段変化するとき、水瀬はどんなアプローチの芝居を通じて五月の魅力をさらに引き立ててくれるのだろうか。そのときが来ることを、大いに期待したい。

 TVシリーズ2期の放送も折り返し。一気に動き始めた五つ子と風太郎との恋模様は、ここからどのように展開するのか。そしてそのなかで、声優陣はそれぞれのキャラクターをどう魅力的に表現してくれるのか。最終回までその点も楽しみにしながら、見守っていきたい。

■須永兼次(すなが・けんじ)
アニメソング・声優アーティスト関係を中心に活動するフリーライター。大学の卒論でアニソンの歌詞をテーマにするほど、昔からのアニソン好き。現在は『リスアニ!』『月刊ニュータイプ』や『TV Bros.』等に寄稿。

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