香取慎吾、出川哲朗との旅で思い出したロケバラエティを“好き”だった自分 人生をプレイバックしながら実感する新鮮な喜び

 旅を進めるうちに香取も何かを思い出していくような感覚があったのではないだろうか。安全策を取って、今いる場所で宿泊をするか。それともどうなるかわからないが、イチかバチか出発し、もっと最高の宿泊場所を目指すか。そんな作戦会議をしているとき、「僕も嫌いじゃないんですよ」と瞳を輝かせ、ニカッと笑う。

 真っ暗な道をなんとか走りきり、ようやく見つけた宿に泊まることができないという場面でも、「残念だけど、楽しかったなー」と宿の主人とのふれあいにホクホクしながら話す香取。さらに、やっとのことで見つけた宿泊先は、ごくごく一般的なビジネスホテルなのだが「最高!」とはしゃぐ姿から、心からワクワクしていることが伝わってきた。

 今回のオンエアを受けて、香取はTwitterで「凄く楽しかった。楽しくて、嬉しくて泣けてくる。ロケバラエティが大好きだった自分を思い出した」とSNSでつぶやいていた。そう「思い出した」と。

 もしかしたら香取は今、人生をプレイバックするように生きているのかもしれない。兄のように思えるメンバーたちと共に、SMAPとしてスタートした芸能人生。「SMAP終わったと思った」という先日の『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)で明かしたこの言葉を考慮すれば、現在オートレーサーとして活躍する森且行選手がSMAPを脱退した1996年に第一章が、そしてグループとしての活動を終えることを宣言した2016年末に第二章が幕を下ろした。

 そして、2017年以降は新しい地図を広げると、とにかく必死に一つずつ自分の好きなものを拾い集めていく章へと進む。それは、真っ暗な道を手探りで進むようながむしゃらな旅の始まり。まずは小さいころから描いていたアートを、そして個人的に楽しんできたファッションが、彼のクリエイティビティを刺激する。そして、徐々に思い出していったのだ、楽しかったライブを、ドラマを、歌を、ダンスを、バラエティを……。

 
 
 
 
 
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 無我夢中でかき集めた「好き」は、やはりこれまで進んできた道につながっているものだった。そう実感している日々なのではないだろうか。一見すると同じ芸能の仕事を続けているように感じられるが、「これも好きだった」「この人のことも好きだった」「これができるようになってもっと好きになった」と一つひとつに新鮮な喜びがあり、まるで新人のように楽しんでいるように見えるのだ。

 33年ぶりのテレビ東京でのドラマ出演も、約3年ぶりにアンタッチャブル山崎弘也との名コンビ復活も、2000年に慎吾ママとして出演した『おはスタ』(テレビ東京系への再出演も、そして念願だった森且行選手との再会も……。改めて「好き」をたどっていくことで、再び交差する縁がある。

 そして嬉しい縁を感じるたびに、香取はパクパクと気持ちよく食べるときのように吸収しているのだろう。好きが広がっていく喜びを、いい仕事を目指すキラキラとした人がいる感動を、そして全国にそれを待ち望んでくれている人がいる幸せを。年齢を重ね、人間としての魅力をさらに深めながら、年々初々しさを増していく香取慎吾という国民的アイドルは、おそらく一生成長期だ。今後ウェブも地上波も垣根なく活躍の場を広げながら、ますますわんぱくに、そしてフレッシュになっていくに違いない。

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