Rin音からさとうもか、羊文学まで……カツセマサヒコが2021年に期待するアーティスト

羊文学ら、カツセマサヒコが期待するアーティスト

君島大空

 そんな羊文学のボーカル・塩塚モエカから派生して知ったのが、君島大空。二人でカバーした七尾旅人の「サーカスナイト」が配信されたとき、ちょうど精神的に追いやられていたこともあって、この曲にすがりつくようにして夜を明かしていた。

君島大空 「笑止」Official Music Video

 そこから君島大空の曲も聴くようになったのだけれど、多重録音による密なサウンドと、“神聖”とまで言いたくなるような中性的な歌声が、これまで聴いてきた音楽と異なりすぎて戸惑いすら持った。昨年11月にリリースされたEP『縫層(ほうそう)』を是非聴いてほしい。そのタイトル自体が君島大空本人による造語である点も含めて、筆者のまだ知らない音楽がそこにあり、一瞬で引き込まれていった。

 ちなみに君島大空はバンドスタイル(合奏形態と呼ぶ)になると、King Gnu・新井和輝(Ba)、石若駿(Dr)、西田修大(Gt)、田口花(Cho)という滅茶苦茶豪華なメンバーが加わる。この世代が30代を迎えたときに日本の音楽シーンはガラリと変わる予感がしていて、これから楽しみな予感しかしない。

映秀。

 これから楽しみ、と言えばもう一人、露骨な贔屓目で応援している若いアーティストがいる。映秀。だ。筆者は基本的にサブスクからしか新たなミュージシャンを発見できないのだけれど、彼だけはたまたま、YouTubeで知った。

クリープハイプ「憂、燦々」高校生が弾き語ってみた。

 クリープハイプの「憂、燦々」をカバーしている高校生が話題だと、ある日知人に教えてもらった。動画を見て、一発で好きになった。調べてみると、昨年春からオリジナルの楽曲も発表し、18歳という若さでデビューしていた。

映秀。「東京散歩」Music Video

 カバーが良くてもオリジナルが良くないアーティストは一定数見かける。ガッカリしたくないな、と思いながら聴いたところ、オリジナルの方がよかった。とくに「東京散歩」は、様々な音楽のジャンルを越境し、新世代の風が吹いていた。好きすぎて本人に思わずDMした。気持ち悪がっていただろうと思う。まだ二十歳手前。それこそVaundyや崎山蒼志、諭吉佳作/menらと同世代だ。羊文学の塩塚モエカ、君島大空の代の、その次の世代までこうして待ち構えていると思うと、やはり日本のミュージックシーン、これからが楽しみだ。

■カツセマサヒコ
1986年東京生まれ。大学を卒業後、2009年より一般企業にて勤務。
趣味で書いていたブログをきっかけに編集プロダクションに転職し、2017年4月に独立。
ウェブライター、編集として活動中。2020年6月、初小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)を発売。

 

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