モーニング娘。'20「KOKORO&KARADA」で首位獲得 伊勢鈴蘭らYouTube動画も目立った『2020年度ハロプロ楽曲大賞』

【その他】

 2020年はコロナ禍の影響もあり、ハロプロに限らずどのミュージシャンも活動に制限があったのは間違いないところだろう。ライブ開催もままならず、リリース数も減少傾向にあった。ハロプロ楽曲大賞でいえば、ノミネート曲数が2019年度は202曲だったのに対し、2020年度は100曲と、ほぼ半減してしまった。ハロプロ正規曲に限れば33曲のみである。

 正規のハロプログループ以外にも、OGやアップフロント所属グループなどの楽曲がノミネートされているのがハロプロ楽曲大賞の特徴なのだが、今回は上記のような理由もあり、1~30位台はハロプロ正規曲がほぼすべてを占め、40~50位台にそれ以外の楽曲が並ぶという、例年とは異なるランクイン配分となった。

 そんな中、19位に食い込んだのは鈴木雅之「DADDY! DADDY! DO! feat. 鈴木愛理」。ベテラン男性ボーカリストと、元℃-ute鈴木愛理のコラボ曲で、TVアニメ『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』OPテーマとして、YouTubeのMV再生回数2300万回の大ヒットとなった楽曲だ。

 他には、元アンジュルムの和田彩花のYouTube公開曲「あなたが選んだもの、あなたが選ぶもの」が29位、PINK CRES.「ルーレット」が30位、道重さゆみ「WHO IS BABY」が35位というのが目立ったところか。前述のKAN版「ポップミュージック」が33位にランクインしたというのも面白い。

【MV】鈴木雅之『DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理』TVアニメ「かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~」OP主題歌
【和田彩花】あなたが選んだもの、あなたが選ぶもの 【MUSIC VIDEO】
PINK CRES.『ルーレット』(PINK CRES.[Roulette])(MV)

MV部門

 楽曲ではなく映像基準で投票されるMV部門。こちらはBEYOOOOONDS「ビタミンME」が首位を獲得した。

 2位と4位にはモーニング娘。'20「LOVEペディア」「人間関係No way way」がそれぞれランクイン。楽曲部門とは逆になっているのが興味深いところだが、「LOVEペディア」は新加入の15期メンバー3人をフィーチャーした作りが勝因だろうか。

推しメン部門

 楽曲大賞の参加者による一推しメンバーを集計した推しメン部門。これがそのまま実人気ランキングに重なるとはいえないが、ひとつの指標ではある。ここ数年はモーニング娘。佐藤優樹の1位が続いていたが、今回も1位を獲得。これで6年連続となる。

 推しメン部門では毎回、グループ卒業者の順位が若干アップするいう傾向が見られるが、今回もJuice=Juiceの宮本佳林が前回3位(小田さくらとの同率)→今回3位、アンジュルムの船木結が前回11位→今回8位というチャートアクションを見せた。

YouTube部門

 今回から新設されたのがYouTube部門。コロナ禍の状況でステイホームが強いられるなか、ハロプロに限らず多数のミュージシャンが少しでもエンターテイメント活動を続けようとして、YouTubeにさまざまな動画をアップロードして我々を楽しませてくれた。ハロプロおよびアップフロントアイドルたちが2020年度に公開したYouTube動画をノミネートリストという形でまとめたところ、実に1066個の動画が記録された。

 そして第1位に輝いたのは、「アンジュルム伊勢鈴蘭のナイトルーティン★Layla Night Routine」。就寝前にどう過ごすかという“ナイトルーティン”動画がYouTube上での流行となり、それを踏まえて制作されたものなのだが、そこにひとひねりが加えられている。同グループの船木結が実況および字幕テロップを担当し、伊勢のあざと可愛さに対して随時ツッコミを入れているのだ。これ以降、伊勢と船木の可愛い対立というのがアンジュルムの魅力のひとつとなったのだが、さらにそこへ拍車がかかったのが、2020年12月9日の日本武道館での船木結卒業コンサートでの一幕だろう。最後のMCで伊勢が「船木さんが考えてくれたナイトルーティンがきっかけで仲良くなれたと思ってます」「こんなに仲良くなれるなんて思ってなかった」と涙ながらに話した。この瞬間、あの動画には「可愛い」「笑える」だけじゃなく、さらに「泣ける」という要素が付与されたのだ。ポイント数・票数ともに2位以下を大きく引き離す結果となった。

アンジュルム伊勢鈴蘭のナイトルーティン★Layla Night Routine

 2位と5位には、「逢いたくていま」(オリジナル:MISIA)の、小田さくら(モーニング娘。'20)と高木紗友希(Juice=Juice)それぞれによるカバー歌唱動画、そして4位には小田&高木のデュエット版動画がランクイン。ハロプロが誇る二大歌姫の歌唱が堪能できる動画が高く評価された。また、3位をマークしたのは「アップフロントグループ テレワーク合唱「愛は勝つ」「泣いていいよ」「負けないで」」。ハロプロのみならずアップフロント所属タレント総出での歌唱動画は大きな話題にもなった。

 6位以降も興味深い動画が多数ランクインしており、動画数が多すぎて把握できていないという人々へ向けてのオススメ視聴リストとしても機能するランキングとなっている。

小田さくら「逢いたくていま」カバー
高木紗友希「逢いたくていま」カバー
高木紗友希 x 小田さくら「逢いたくていま」カバー
アップフロントグループ テレワーク合唱「愛は勝つ」「泣いていいよ」「負けないで」

 以上、2020年度のハロプロ楽曲大賞の結果を振り返ってきた。先にも述べたが、今回はノミネート曲が半減し、投票数も前回より減ってしまうという結果になり、楽曲大賞自体の盛り上がりという点では後退したと言わなければならない。

 だが、困難な状況下でもハロプロは出来得る範囲内でコンサートおよびリリース活動を続けてきた。そんな1年の記録としての今回のランキングであり、今後いつか、「そんなこともあったね」と笑い合えるような生活が戻ってくることを願っている。

 それでは今年末の「ハロプロ楽曲大賞'21」にて、皆さんの投票をお待ちしています。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter

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