ジャニーズ年末企画:ライター5名が振り返る“激動”の2020年(高橋梓、佐藤結衣編)

佐藤結衣「視聴者の声から新たなスターを育て上げていく時代へ」

1.今年のジャニーズを振り返り、一言で表すとどんな言葉が思い浮かぶか
「デジタル過渡期」
 2018年1月にYouTube公式『ジャニーズJr.チャンネル』の開設が布石となり、嵐がSNSデビューを果たした2019年がジャニーズにとってデジタル元年だとすれば、今年はその過渡期を迎えたタイミングと言えると思います。新型コロナウイルスの影響でオフラインのイベントが軒並み中止になるなかでオンラインライブの開催、ジャニーズ公式YouTubeチャンネルでの動画リレー企画など、できることが限られているタイミングだったからこそ、デジタル化が一気に進んだ印象でした。また、Snow Man、SixTONESのデビューが盛り上がったのも、YouTubeを通じて盛り上がっていたところが大きかったように思います。デジタルネイディブ世代のJr.たちならではのセルフプロデュース力を持った新たなスターが生まれてくる可能性にワクワクします。マスコミ主体ではなく、視聴者の声から新たなスターを育て上げていく時代への切り替わりを感じる1年でした。

2.飛躍を遂げたと感じるジャニーズグループ
SixTONES
 デビューシングル『Imitation Rain』からYOSHIKI(X JAPAN)プロデュースという前代未聞の角度で攻めのスタイルを見せてくれたことが印象的でした。そして、アメリカをバックグラウンドに持つジェシーを中心に、英語詞バージョンのMVをYouTubeで発信するなど、海外を意識した動きにジャニーズブランドの新たな一歩を感じます。YouTube Originalsによる映像作品『YOSHIKI: UNDER THE SKY』にもマリリン・マンソン、The Chainsmokers、セイント・ヴィンセント、ニコール・シャージンガー、SUGIZO、HYDE、ジェーン・チャン、リンジー・スターリング、Scorpions、サラ・ブライトマンとともににSixTONESが名を連ねており、12月23日の公開後世界からどのようなリアクションが見られるのか楽しみです。

3.コロナ禍においてジャニーズが果たした功績
 YouTubeの手洗い啓蒙動画やチャリティーソングの発表など、『Smile Up ! Project』を通じて、いわゆるジャニーズらしい支援で社会を明るく照らしてくれたと思います。それに加えて、これまで以上にYouTubeやオンラインライブの取り組みが広がったことで、彼らの声をダイレクトに聞く機会が増えたことに、多くのファンは勇気づけられたのではないでしょうか。メンバーがリモートで会話をしている動画など、そこにファン自身も参加しているような感覚で楽しむことができました。自宅からの映像が届くというのは、このコロナ禍でなければありえなかったこと。また、オンラインライブではまだまだ手探りな部分も多く、ファンの声に耳を傾けて一緒につくりあげていく姿勢も見ることができました。未曾有の事態を必死に乗り越えていく姿をそのまま発信することで、誰もが試行錯誤した2020年をともに生きているという実感をもたせてくれたように思います。

4.一年を通しての所感
 やはりジャニー喜多川氏という、ジャニーズ事務所のシンボルが旅立たれたことが、大きな衝撃だった1年でした。「ジャニーズとは何か」を誰もが改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。カリスマ創業者が持つ求心力ではなく、今後はそのイズムを引き継いでいく新しい組織へ。マスメディアとWebの世の中に与える影響力のパワーバランスの変化も相まって、ジャニーズ事務所そのものが大きく変わろうとしているのを感じます。そして、そんなときだからこそ、それぞれが目指すアイドル像がより鮮明になっていくような気がしています。ジャニーズの原点ともいえる舞台・ステージを大事にしていく人、時代の変化を柔軟に取り入れて発信していく人、またバランスよく両方を楽しめる人……その中で、より各自の魅力・才能がのびのびと開花されていく環境になっていくことを願っていますし、その実現にはファンの言動が大きな影響力を持つのではないかとも感じています。新しいジャニーズ事務所を作っていくのは、もしかしたらジャニーズファン1人ひとりになる、といえるかもしれません。

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