雨のパレード、“ライブ感と再現性”突き詰めた2020年唯一のワンマン公演 雲丹亀卓人&AAAMYYY迎えた5人体制のステージに
AAAMYYYが主にシンセを担当することによって、3人編成ではギターと鍵盤を忙しく行き来していた山﨑康介の負担が軽減され、ギタリストとしての存在感を改めて発揮しつつ、曲によってはギターを置いてキーボードなどを演奏することで、楽曲の多彩なカラーがより鮮明に浮かび上がる。「1969」ではAAAMYYYもギターを弾いて、山﨑とのツインギターを披露する場面も。また、AAAMYYYはコーラスでも大きな役割を果たし、同期によるゴスペルチックな多声コーラスの中で福永とAAAMYYYがともに歌った「scapegoat」は特に印象的。「僕の声と相性がいい」という福永の言葉にも確かな実感がこもっていた。
〈いまこの時代に起こしてみたい/あの頃のように突き動かす/新しいなにかを〉という歌詞に今演奏することの意味を感じさせる「1969」、福永がアコギを持ったサイケデリックなUKロック風の「Dear Friend」など、何度となく見せ場がありつつ、中でも素晴らしかったのは終盤の流れ。「生バンドでやるのは懐かしい曲」と紹介された初期の代表曲「new place」は、ディレイのかかったベースのループがポイントで、やはり生演奏がよく似合う1曲だ。オーディエンスが声を出せない状況ではどうしてもぎこちなさが生まれ、この日も序盤はステージとフロア双方にちょっとした緊張感が感じられたが、この曲で福永にも本格的に火が点き、アグレッシブなパフォーマンスに会場全体の温度がグッと上がる。
エレクトロハウスな「Count me out」も完全にキラーチューンとなり、この定番曲の流れに新作からダンサブルな「Flash Back」が効果的に挿入され、そのまま「Ahead Ahead」へ。福永に加え、山﨑と雲丹亀が揃って飛び跳ね、オーディエンスもつられてジャンプをするという光景は、これまでには見られなかったもの。「今日は心の中で歌ってください。みんなの分まで俺たちが歌うから」と伝えた「BORDERLESS」まで、一気に駆け抜けた。
クリスマスらしく雪が降る演出で最後に披露されたのは、コロナ禍に見舞われた2020年の中で、そばにいる大切な人への想いを綴った「Child’s Heart」。この曲ではAAAMYYYに代わって大澤がコーラスを担当して福永の歌に寄り添い、山﨑がアコギで2人の歌に寄り添うことで、メンバー3人の繋がりの強さを改めて示していた。より広く、より多くの人に届けることを目的とした『BORDERLESS』と、顔を突き合わせてコミュニケーションをすることの重要性をテーマにした『Face to Face』はまさに表裏一体の関係性で、音楽を作って表現する上では、この両方に対する意識が必要だ。どちらが欠けても成り立たない、『BORDERLESS』と『Face to Face』が同じ年にリリースされたことの意味を強く感じさせる一夜でもあったように思う。
また、2021年の春には全国ツアー『ame_no_parade TOUR 2021 ”Face to Face”』を発表。オーディエンスとより近い距離感で『Face to Face』の楽曲を味わえる日を心から楽しみにしたい。
■セットリスト
M1.if
M2.Summer Time Magic
M3.1969
M4.IDENTITY
M5.scapegoat
M6.Strange GUM
M7.Tokyo
M8.partagas
M9.Have a good night
M10.Dear Friend
M11.Shoes
M12.resistance
M13.one frame
M14.new place
M15.Count me out
M16.Flash Back
M17.Ahead Ahead
M18.BORDERLESS
M19.Child's Heart