ENHYPEN『BORDER : DAY ONE』収録曲がバイラル絶好調 過酷なデビューを経てたどり着いた“緩急自在な歌とダンス”

 こんな非情で過酷なオーディションを勝ち抜いた7人で結成されたENHYPENは、ひとことで言ってしまえば、今現在は耽美系。楽曲、ダンス、衣装、表情など、すべてがジェンダーレスでボーダレス、さらに少年性も加えた色気を意識しているのが伺える。まだ数曲だけしか世に出ていないが、楽曲もミディアムチューンが中心のポップス嗜好。滑らかな動きを取り入れたダンスも、1曲の中で緩急ある表情を見せる。今後、多彩な展開を見せてくれると思うが、彼らの現状の印象をあえて絞って伝えるなら王子様だ。この王子様感は、サバイブしてきた生々しい経緯とのギャップにつながっている。デビューして大ブレイクしているのは、このギャップ萌えもあるんじゃなかろうか。オーディションというストーリーで、ハイスペックさを見せたメンバーが、ピュアな笑顔と誰もが真似できる振付でギャップを見せてブレイクした例は、これまでいくつもあるが、前述したようなギャップ萌えは、新機軸ではないかと思う。

ENHYPEN (엔하이픈) 'Given-Taken' Official MV

 既存の価値観やネームバリューなどでは測れないところで、新鮮さを打ち出すバイラルチャートは、いわばチャートの新機軸。そこにアルバムのほとんどの曲をチャートインさせてくるあたり、ENHYPENもまた新機軸である証拠になるのではないか。

 2020年の終わりに動き出した新機軸は、果たしてこれから、世界中のシーンの中をどうサバイブしていくのか。楽しみである。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
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