『VS嵐』と『嵐にしやがれ』は“自然体の5人に会える番組”だった 愛情と感謝にあふれた2番組の終了に寄せて

 2つの番組はそれぞれきっちりと棲み分けをしながらも、確固たる共通点もある。それは、根底に流れる「メンバーの仲の良さ」だ。どちらの番組も最後の放送に「5人だけのロケ」を組み込んだことが、それを裏付けている。最終的にファンがみたい嵐は「自然体の、5人でいる時の嵐」だということを、どちらの番組スタッフも心得ていたのであろう。それは、「嵐5人に自由に楽しんでもらうこと」であり、スタッフがいかに嵐に信頼を寄せているかがわかる。そして、その信頼を勝ち取ったのは、まぎれもなく嵐自身の功績である。そう、2番組をここまで長く愛される番組にしてきたのは、彼らの「周りへの感謝の心と愛情」なのだ。

 両番組とも最終回にこれでもかと内容が詰め込まれ、スタッフからゲスト、スポンサーに至るまで、関係各所からの「全力の愛情」による演出の数々がそれを物語っている。まず、スタッフやゲストへ向けた、嵐からの「愛情と感謝」の積み重ねがあった。そして、それは大きな愛となって嵐に戻ってきたのだ。ファンや視聴者のことを考え、スタッフのことを考え、ゲストのことを考えて、いつも誠実に真摯に向き合う彼らだったからこそ、10年以上も愛される番組の一旦のフィナーレを、華々しく飾ることができたのだろうと確信している。

 「愛情と感謝」とはシンプルな理由だが、それをたゆまず継続するのは難しい。嵐はそれをきっちりと実現させた、稀有なアイドルなのだ。

「嵐へ贈る30秒」TVCM

 嵐を愛し、嵐に愛された愛情あふれる2つの番組が幕を引いたことは、心の底から名残惜しく寂しい気持ちでいっぱいだが、こんなにも多くの人に愛されている嵐を確認できたことは、ファンにとって僥倖であり、またいつか5人の笑顔に会える日を待つ原動力ともなった。

■佐久良夏生
1988年生まれ。茨城出身。日本の音楽・コミック・サブカルチャーが好きです。

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