NMB48、吉田朱里の初センター&卒業シングルがオリコン首位 個性豊かなカップリング曲に見られる“グループの強み”

 形態ごとのカップリング曲も聴いていきましょう。Type-Aに収録されているTeam Nによる「ダンシングハイ」は、歌謡色が強い楽曲。こうした濃いめの味つけの楽曲も歌いこなせるのはNMB48というグループの強みでしょう。Type-Bに収録されているチームMによる「我が友よ 全力で走っているか?」は、疾走感の強いナンバーで、いっそロックナンバーにしてもいいぐらいですが、そうしないところにNMB48の美意識を感じます。

 Type-Cに収録されているチームBIIによる「青春念仏」はすごいタイトルですが、NMB48には2012年の「北川謙二」もあったので驚くべきではないでしょう。そして「青春念仏」は、今回のなかでもっともファンキーなアレンジ。ブラックミュージックが好きな人にはType-Cがおすすめです。劇場盤に収録されている難波鉄砲隊其の九による「告白の空砲」は、1970年代の歌謡曲の香りがします。ブラスセクション映えするメロディです。

 そして、吉田朱里のソロ曲「一番好きな花」は完全生産限定盤に収録。穏やかなピアノに導かれて、甘く柔らかな吉田朱里の歌声が響き出します。秋元康による〈一番好きな花を1人探しに行こう〉という歌詞は、48グループのなかでも独自の道を切り拓いてきた吉田朱里を描き出します。

【MV】一番好きな花/吉田朱里(Short ver.) / NMB48 吉田朱里[公式]

 AKB48の紅白落選は、時代の変わり目とも言われます。たしかにシーンは変化しているでしょう。しかし、NMB48は最近のグラビア攻勢によって、48グループのなかでも存在感を以前より増しているようにも感じます。そして何より、音楽的な厚みは『恋なんかNo thank you!』でも変わっていないのです。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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