丘みどりが語る、15年の活動で得た経験とファンへの感謝 「人生に無駄なものは何もない」

丘みどり、15年の経験とファンへの感謝

コロナ禍は『愛の不時着』『鬼滅の刃』でインプット

ーーそのころは、ファンからどんな声をかけてもらっていたんですか?

丘:熱いファンの方がたくさんいらっしゃって、「みどりちゃんが一流の歌手になれるように、僕らが応援してあげなあかん!」と言ってくださる方ばかりで、私はみなさんが作ってくれる道を自分の好きな歌を歌いながら歩いているという感覚でした。

ーーファンが導いてくれた。

丘:そうです。私からアドバイスを求めることも多くて、「こういう番組に出るのはどう思います?」ってよく相談していました。「その番組はまだ早いんじゃないか」とか、「その番組は合っていると思うよ」とか。ぶっちゃけトークをするような番組は、「まだ出ないほうがいい」とか。

ーー外部にアドバイザリースタッフが大勢いたんですね。

丘:はい(笑)。みなさんと丘みどりを作っているという感覚でした。

ーー「佐渡の夕笛」から『NHK紅白歌合戦』に3年連続で出場していますが、初出場の時はどんな気持ちでしたか?

丘:初出場の時は、「緊張」というひと言では言い尽くせないほど緊張しました。祖母と父が会場に見に来てくれていたので、ふたりの顔を見て少し安心することができたんですけど、周りのことはまったく見えてなかったです。おうちに帰って録画を見て、「こういう方も出ていたんだ」と、そこでやっと気づいたほどです。歌詞を間違えないようにとか、ちゃんとしなきゃとか、そんなことばかり考えていました。

ーー楽しむ余裕はなかったんですね。

丘:まったくなかったです。でも2年目3年目は、少しは周りが見えるようになりましたし、肩の力を抜いて歌えるようになりましたし、舞台裏でほかの出演者の方とお話もできるようになって。覚えているのは、2年目の時に松任谷正隆さんに高畑充希さんと間違えられて、3年目の時に「その節は間違えてすみませんでした」と言われたことです(笑)。

ーーステージからの景色は、どんなふうに見えましたか?

丘:ここが、ずっと憧れて立ちたかった場所なんだと。1回目は、1度は出てみたいという気持ちだけで立ったので、「立てて良かった」という気持ちでステージに立ったんですけど、歌い終えると「もう1度立ちたい」と思って、「こういうふうに思うんだな」と、意外な気持ちになりました。私は1度出れば満足すると思っていたんですけど、「来年も立ちたい」という気持ちがむくむくと沸き起こってきて、ファンのみなさんから「来年も見たい」と言ってもらうたびに、その期待に応えたいと思うようになって。「これが紅白なんだ。だからみなさん紅白を目指すんだ」と思いました。

ーー今も緊張はすると思いますけど、1年目はとくに緊張したでしょうね。そういう時の緊張のほぐし方は、何かありますか?

丘:どんなにほぐそうとしてもほぐれないので(笑)、今まであった悔しいことや辛かったことをいっぱい思いだして、「絶対に負けない」「負けるものか!」という気持ちで出ています。プレッシャーで自分に押しつぶされそうになるので、とにかく負けないという気持ちです。実際に「負けないぞ!」って、口に出してからステージに立っています。もちろんここまで導いてくださったみなさんへの感謝の気持ちなどもありますけど、紅白のステージはそういう強い気持ちでないと立つことができません。

ーー今年出されたシングル『五島恋椿/白山雪舞い』の2曲も収録されていて、今年の年末はこの曲で4年連続目指すわけですね。

丘:はい。ですけど、こればかりはどうなるかわかりませんね。とくに今年はコロナで思うように活動できていないので、頑張りたくても頑張れなくて悔しかった1年でした。

ーー15周年をライブでみんなと一緒にお祝いするはずだったのが、コロナでできなくなってしまったんですよね。

丘:そうなんです。今年は去年以上の本数で、3月から7月にかけてほぼ毎日コンサートを行う予定だったんですけど、それが全部なくなってしまったのでそれはショックでした。最初はすごく落ち込んだんですけど、それは私だけじゃくてみなさん同じように大変な状況ですし、これはもう仕方がないと思って気持ちを切り替えて。それで配信でライブをしたりYouTubeの動画を更新するなど、前向きなほうに気持ちを切り替える努力をしました。

ーーファンの応援も力になりましたか?

丘:はい。ファンの方もすごく心配してくださって、「大丈夫?」ってSNSでやさしく声をかけてくださって。こういう状況なのできっとご本人も大変なはずなのに、そうやって私のことを気にかけてくださる方ばかりなんです。そういう自分のことよりも「丘みどりを応援せにゃ!」と思ってくださっている方に、何かお返しがしたいという気持ちで日々を過ごしていました。それに1日1日を無駄にしてはいけないと思ったし。何もせず1日をすごしてしまった時は、きっとこの1日は、母が生きたかった1日だろうと思うようにして、自分の中で気持ちを奮い立たせながら、何かできることはないかと考えながら過ごした毎日でした。

ーーほかの歌手の方と情報交換をしたりしましたか?

丘:はい。メールをしたり電話をしたり。「仕方がないよね」「でも頑張ろうね」って話をしました。スタッフと会議をする時は、流行りのZoomで繋いでやりとりをして、「Zoom飲み会」というのが話題になりましたけど、私も1度友達とZoom飲み会をやりました。でもあれって、みんな自宅にいるから安心しちゃって、終わり時がわからないのが難点ですよね(笑)。その時は6人で集まったんですけど、こういうのも楽しいなと思いましたね。私は、ハイボールと、おつまみをいくつか作って用意して参加したんです。

ーー自粛期間中は、料理を頑張っていたんですよね。

丘:その時期は毎日お料理をしていましたね。今まで東京に住んでいたけど、キャンペーンで全国を飛び回っていたので、月に4回くらいしか家に帰らないから、キッチンもほとんど使っていなかったんです。でも自粛期間はずっと家にいたので、すごく料理をしました。動かないからどうしても太ってしまうので、カロリーを気にしながら和食を中心に作っていました。

ーーインプットは何かされましたか?

丘:本も読みましたし、いろいろな音楽も聴きました。Netflixで映画やドラマを見たりもして。『愛の不時着』や『鬼滅の刃』など、ランキングの上位はほとんど制覇しました。

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