NiziUのリーダー MAKO、メンバーの架け橋 RIO、安心感与えるMAYA……グループに欠かせない年長メンバー

 そして2002年生まれのMAYAは、地域予選の段階ではまだ頭角を現していなかった。それはひとえに、彼女の自分自身に対する自信のなさが影響していたと思われる。『NiziU 9 Nizi Stories』の第3話(MAYA編)で放送された地域予選での未公開シーンで、「他の人と比べたら特に何もないんですけど、私の個性をもっと光らせる場所はここが(一番)光るのかなと思って」とオーディションに参加した理由を語っていたMAYA。“自分は何も特別なものを持ち合わせていない”、そう思っていた彼女に自信を与えたのが、J.Y. Parkだった。J.Y. ParkがMAYAの長所としてあげたのは、「演技力」。オーディション段階では足りなかった実力をカバーするほどの、表情やジェスチャーによる表現の豊かさは、まさに唯一無二の輝きだ。さらにその輝きを、彼女は東京合宿のスター性審査で発揮する。MAYAが披露した『みにくいアヒルの子』の紙芝居は、まるで自信のなかった彼女が自分だけの“特別”を手に入れ、歌手として世界へ羽ばたく姿を物語っているようで見る者の心を震わせた。そして、おじいちゃんにデビューした姿を見せたかったと涙を流す彼女は、世界中に感動を与えるエンターテインメントに相応しい、誰よりも繊細で美しい心の持ち主といえる。

 こうしてみると、MAKO・RIO・MAYAの年長組は改めてグループに欠かせない存在であることがわかる。圧倒的な実力で頂点に立ちながら、誰一人置いていくことなく全員をまとめ上げるリーダー・MAKO。ストイックで常に自分自身と向き合い、持ち前の明るさで年長組と年下メンバーとの架け橋になるRIO。全員が“お母さん”と称する心のあたたかさでグループを包み込み、安心感を与えるMAYA。世界中で数え切れないほどのアーティストが存在する今、ダンスや歌の実力もさることながら、一人ひとりが努力し続け、ファンから愛されるチームワーク抜群のグループでなければ成功は見込めない。実力・努力・謙虚さ、その姿勢を年長組の3人は年下のメンバーに背中で語っている。彼女たちがいるからこそ、他6人のメンバーは伸び伸びと、そして彼女たちに負けじと輝きを放てるのだろう。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter:@bonoborico

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