井上麻里奈、茅原実里、竹達彩奈、雨宮天ら豪華声優が歌う多彩な恋愛ソング 『デート・ア・ライブ』が生んだキャラソンの魅力

『デート・ア・ライブ』キャラソンの魅力

 以降は、豪華キャストがボーカルを担当した、それぞれのキャラクターの魅力を掘り下げるような楽曲が並び、楽曲ごとにまったく違う音が楽しめる。たとえば、演歌~歌謡曲のような鳶一折紙(CV:富樫美鈴)による2曲目「恋色折紙」は、折紙の士道に寄せる(ややヤンデレ気味な)恋慕の気持ちと歌謡曲の相性は抜群で思わずニヤリとするファンも多いだろう。打って変わって誘宵美九(CV:茅原実里)による5曲目「monochrome」は、アイドルらしい可愛らしさが盛りだくさんなテクノベースの四つ打ちダンストラック。一方で八舞耶倶矢(内田真礼)&八舞夕弦(ブリドカットセーラ恵美)の「DOUBLE PUNCH LOVE」はデュエット形式のダンサブルでポップなギター・ロックで、四糸乃(CV:野水伊織)の「Lonely, Morning, Dreaming」はボサノヴァ曲になっている。

 基本的には士道に出会う以前とデレて以降の恋愛感情という共通のテーマが基盤ではあるが、キャラクターの個性やバックストリートを通すことでここまでバラエティに富んだ作品に仕上がるのか、という発見もある。もともとギャルゲー的なハーレム要素だけではなく、それぞれのキャラクターが持つシリアスなバックボーンを丁寧に掘り下げる作品ではあるが、その奥行きがあるからこそ各キャラソンも際立ってくるのではないだろうか。

『劇場版デート・ア・ライブ 万由里ジャッジメント』キービジュアル ©2015 T・T/K/DALM・P
夜刀神 十香&氷芽川 四糸乃 ©2015 T・T/K/DALM・P
万由里 ©2015 T・T/K/DALM・P
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『劇場版デート・ア・ライブ 万由里ジャッジメント』キービジュアル ©2015 T・T/K/DALM・P
夜刀神 十香&氷芽川 四糸乃 ©2015 T・T/K/DALM・P
万由里 ©2015 T・T/K/DALM・P
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 そんな楽曲の振り幅の広さはアルバム後半もさらに増していく雰囲気で、五河琴里(CV:竹達彩奈)による8曲目「melt」は、80年代~90年代を思わせるニューウェイブ風J-POP。一方で、やわらかなバンドサウンドとストリングスが絡み合う夜刀神十香(CV:井上麻里奈)の「美味しいデェト」、よく聴くとアンビエント~エレクトロニカ風のアレンジにも思える万由里(CV:雨宮天)の「Resolution」、エモーショナルなピアノ+バンドサウンドが印象的な園神凜緒(CV:佐倉綾音)の「Not Forget」など、1曲として同じような曲はなく、それがそのまま、作品に登場する登場キャラクターたちの個性豊かな魅力を象徴するようだ。

 中には2000年代以降のヘヴィロック~メタルコアの流れを汲む七罪(CV:真野あゆみ)の「Bipolar emotion」など、かなりヘヴィに振り切れる瞬間も。スピンオフ『デート・ア・バレット』が作られるほどの作品屈指の人気キャラ・時崎狂三(CV:真田アサミ)「闇ノ向コウへ」は彼女のミステリアスなキャラクターとトレードマークのゴシック衣装を想起させるような壮大な楽曲。人を殺めることを厭わない狂三は、冷酷・無慈悲な性格ではあるが、他の精霊とは違い常に孤独を抱えて戦いに身を投じるキャラクター。そんな彼女の壮絶な人生や願いが反映された歌詞は、アニメと相まってファンにとったら感涙とも言えるストーリー性を帯びている。そして本編最後の五河士道(CV:島﨑信長)による「A.D.V / 僕の日常」は、ホーンアレンジ&歌詞の雰囲気がThe Beatlesの「Penny Lane」を思わせる日常賛歌で、すべての楽曲を包み込む曲になっている。 

『デート・ア・ライブ』第3期 キービジュアル ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
鏡野 七罪 ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
鳶一 折紙&五河 士道 ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
©2019 T・T/K/DALⅢ・P
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『デート・ア・ライブ』第3期 キービジュアル ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
鏡野 七罪 ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
鳶一 折紙&五河 士道 ©2019 T・T/K/DALⅢ・P
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©2019 T・T/K/DALⅢ・P
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 また、ボーナス曲として、野水伊織が作詞を担当する『デート・ア・ライブ 蓮ディストピア』のOP曲「甘言誘惑Receptor」/ED曲「Never Ending Love story」も収録。sweetARMSが歌う「甘言誘惑Receptor」は、クラブミュージックの要素も加えたテクニカルなバンドサウンドで「激しさ」と「かろやかさ」をあわせ持つこの作品の主題歌に新しい挑戦を加え、ED曲「Never Ending Love story」はシリーズ全体のテーマソングと言えるくらい『デート・ア・ライブ』の世界観に寄り添った歌詞が印象的だ。

 そして何より、不揃いの楽曲が一枚にぎゅっと詰め込まれているようなアルバム全体の構成が、士道と精霊たちとの賑やかな「戦争=デート」の雰囲気を連想させる。この作品から『デート・ア・ライブ』の魅力を紐解いたり、改めて各キャラクターの魅力に向き合ったりするのも楽しいはずだ。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

『デート・ア・ライブ キャラクターソングコレクション』
『デート・ア・ライブ キャラクターソングコレクション』

■リリース情報
『デート・ア・ライブ キャラクターソングコレクション』
2020年10月21日(水)発売
¥2,500+税
商品ページはこちら

配信はこちら

<収録予定曲>
1. Hatsukoi Winding Road 歌:リリコ(CV:積田かよ子)、幼馴染(CV:村井理沙子)、先輩(CV:月宮みどり)
2. 恋色折紙 歌:鳶一折紙(CV:富樫美鈴)
3. ひつじの樹海 歌:村雨令音(CV:遠藤綾)
4. リトル妹ドロップス 歌:崇宮真那(CV:味里)
5. monochrome 歌:誘宵美九(CV:茅原実里)
6. DOUBLE PUNCH LOVE 歌:八舞耶倶矢(CV:内田真礼)、八舞夕弦(CV:ブリドカットセーラ恵美)
7. Lonely, Morning, Dreaming 歌:四糸乃(CV:野水伊織)
8.melt 歌:五河琴里(CV:竹達彩奈)
9. 美味しいデェト 歌:夜刀神十香(CV:井上麻里奈)
10. Resolution 歌:万由里(CV:雨宮天)
11.Not Forget 歌:園神凜緒(CV:佐倉綾音)
12. Bipolar emotion 歌:七罪(CV:真野あゆみ)
13. 闇ノ向コウへ 歌:時崎狂三(CV:真田アサミ)
14. A.D.V / 僕の日常 歌:五河士道(CV:島﨑信長)
他、収録予定。

■配信情報
『デート・ア・バレット』前編『デッド・オア・バレット』主題歌
「Infermata」「Only wish」
2020年8月21日(金)よりダウンロード配信スタート
配信はこちら

「Infermata」
作曲・編曲:坂部剛 演奏:Spotlight Kids
(『デート・ア・バレット』オープニング・テーマ)
「Only wish」
作詞:渡部紫緒 作曲・編曲:坂部剛 歌:Luiza
(『デート・ア・バレット デッド・オア・バレット』エンディング・テーマ)
「Only wish」Instrumental

アニメ『デート・ア・ライブIV』公式サイト

※トップ画像 ©2013 K・T/F/DAL・P

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