BLACKPINKが世界的成功を収めた4つの理由 Netflixドキュメンタリーから見えたグループの強みと特異性

 常にプレッシャーにさらされてきたという点もこのグループを急成長させた大きな要因だ。いつデビューできるのか、それとも途中で脱落してしまうのかーー。4~6年続いた練習生時代では、そんな不安と緊張感が日々の生活であったという。2016年夏にデビューしてすぐに「WHISTLE」が主要ヒットチャートのトップに。以降も休むことなく走り続けてきたグループだけに、スターゆえの様ざまな葛藤があったに違いない。だからこそ、どんなときでも手を抜くことなく最上級の歌とダンスを見せてきたのではないだろうか。

 最後のポイントはフレンドシップ(友情)だ。これまで数多くのK-POPアーティストを見てきたが、インタビュー時の受け答えやメンバー同士の何気ないやりとりなどを通じて「いい雰囲気だな」と思ったグループは息の長い活動をしているケースが多い。BLACKPINKのメンバーたちもお互いを尊敬し大切にしていることが今回のドキュメンタリーで十分すぎるほど伝わってきた。仲の良さや結束力の強さは歌声やダンスパフォーマンスにも表れる。彼女たちのライブにポジティブなオーラが感じられる要因にもなっているのだ。

 BLACKPINKが海外で圧倒的な支持を得たのは「DDU-DU DDU-DU」を発表した2018年あたりだろうか。そして昨年、世界最大級の野外フェスティバル『Coachella Valley Music and Arts Festival 2019』(コーチェラ2019)に出演してさらにスケールアップしたのは誰もが認めることだ。同フェスティバルのステージに立つのは相当緊張したようだが、成功裏に終わったおかげでグループが進むべき道がはっきり見えてきたと推測する。

BLACKPINK - 'Kill This Love' Live at Coachella 2019

 「ただのK-POPじゃないことを受け止めてもらえた」。ジェニーは当時を振り返り、このように語っている。新しいK-POPを作っているという自負。これこそが現在のBLACKPINKの原動力になっているような気がするのだ。サクセスストーリーを支えてきたものを大切にしつつも、常にチャレンジすることを彼女たちは忘れない。そして今ははじまりにすぎないということも実感しているだろう。BLACKPINKが乗った上昇気流はまだまだ続きそうだ。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。

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