手嶌葵「散りてなお」が代弁する“大切な人”への想い 映画『みをつくし料理帖』と松任谷由実の世界観リンクする優しいメッセージ

手嶌葵「散りてなお」が代弁する想い

 歌詞を読むと、離れ離れになってしまった澪と野江が、またいつか逢える日を願っている「祈り」のような内容となっている。が、〈今はなき故郷と 同じ匂いの風わたる〉、〈いつの日か 帰らむと 想い描く景色は 現し世にもう無いのに 誰も消し去れはしない〉というラインは、私たち現代人が東日本大震災をはじめ、多くの自然災害によって失ってしまった「大切な人」への想いを代弁しているようにも取れる。もう二度と見ることのできない景色や、もう二度と会うことのない人たちも、私たちの記憶の中でしっかりと生き続けている。そんなユーミンの優しいメッセージが込められているように筆者には感じられた。

 なお本作には、昨年配信限定リリースされた小気味よいアコースティックナンバー「真夜中のメロディ」と、昨年11月17日に中国の四川大劇院にて行われたコンサートより「海を見つめる日」と「こころをこめて」が収録されている。ピアノとアコギのみのシンプルなアンサンブルで歌うライブ音源は、手嶌の歌声やアーティキュレーション、メロディの美しさに改めて気づかされるはずだ。

手嶌葵『散りてなお』
手嶌葵『散りてなお』

■リリース情報
『散りてなお』
発売:2020年10月14日(水)
価格:¥1200(税抜)

1. 散りてなお
2. 真夜中のメロディ
3. 海を見つめる日 (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019)
4. こころをこめて (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019)
5. 散りてなお (instrumental)
6. 真夜中のメロディ(instrumental)

配信はこちら

■映画情報
『みをつくし料理帖』
2020年10月16日(金)公開予定
出演:松本穂香 奈緒 若村麻由美 浅野温子 窪塚洋介 小関裕太 藤井隆
野村宏伸 衛藤美彩 渡辺典子 村上 淳 / 永島敏行 反町隆史 榎木孝明 鹿賀丈史
薬師丸ひろ子 / 石坂浩ニ(特別出演) / 中村獅童

製作・監督:角川春樹/脚本:江良 至、松井香奈、角川春樹 原作:髙田 郁「みをつくし料理帖」(角川春樹事務所)

主題歌:手嶌 葵「散りてなお」作詞・作曲/松任谷由実 編曲/松任谷正隆(ビクターエンタテインメント)

料理監修:服部幸應/音楽:松任谷正隆/制作統括:遠藤茂行/制作:楽映舎 Ⓒ 2020 映画「みをつくし料理帖」製作委員会

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