10-FEET、続けてきたから歌えるど真ん中の1曲「シエラのように」「説明するんじゃなくて感じてもらえる力こそロック」

10-FEET、“ど真ん中”の1曲を語る

「ライブがあるのは、1人の人間として恵まれていたことの1つやった」

ーー結論を説明するのではなく、ただただ一人一人の背中を押すようなロック。そういう意味では、10-FEETがこれまで築き上げてきた音楽としっかりリンクする部分がありますね。

TAKUMA:ただ、さっきも言った通り、「この曲が誰かの元にたどり着いたときに、聴いた人はどう思うだろ?」ってことまで考えてなかったので。もしかすると、「どう感じてもらえるか」っていうことに究極に集中して音楽を作る生活をずっとしてきた結果そうなったのかもしれないし......わかんないですけど、自分が根強く持ってる“作ることに対する情熱と魂”みたいなものに負けへんくらい、自分がピュアなリスナーでもあるからやと思うんですね。誰かの曲にめちゃくちゃ感動して、1年間その曲ばっかり聴くとかいまだにあるんで。自分が演奏する以上に、よく聴いてる曲もあるかもしれんくらいですから。自然とジャーンと鳴らした曲のなかに、音楽を演奏する自分も、そういうリスナーとしての自分も宿ってるんじゃないかなって思いますね。

ーーそういう意味では、今回は3曲とも同じ想いが宿っている曲に聴こえました。そういうシングルになるのは、最近のなかでは珍しいんじゃないかなと思います。

TAKUMA:そうですね。シングルで2、3曲作って、「アルバムみたいな曲ができました」って言うことがたまにありますけど、今回は3曲合わせて1曲と言ってもいいくらい、自分が同じような心境で取り組んでいた曲ですね。でも、曲調が違うから面白いんやないかと思います。

 あと、これは最後の後付けなんですけど、レコーディングし終わってから、「今回の曲って、最近よくやってるセットリスト、あまりやらない珍しいセットリスト、ちょっと変化をつけたセットリスト、どこに持ってきても結構ええ居場所ありそうやな」っていう感じがしたんです。他の曲に対してちょうどいい距離感があるから、1曲目でも最後でも真ん中でも、どこでもいけるんちゃうかなと思ってドキドキしたんですよね。

ーーそれこそシングルのタイトルを冠したツアー(『10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021』)が発表されましたけど、セットリストを想定する、つまりライブができることによって何か変わってきた部分もあるのかもしれないですよね。5月のインタビュー(参照:10-FEET TAKUMAが語る、コロナ以降の『京都大作戦』とライブハウス 「いいものに変わる日まで腐らず生きていく」)のときは、希望を持ちつつも、まだ先が見えない状況だったと思うのですが。

TAKUMA:それも大きいですね。コロナになる前は飲み屋に行けば普通に仲間がいたし、ライブをすれば対バンの仲間と会えたり、初めて会うお客さんがいたりして。そこには音楽とMCとみんなの叫びがあることで、コミュニケーションがあったわけで。今思うとライブをやるというのはちょっと珍しいことというか......誰かと飲んだり、飯食いに行ったり、遊んだり旅行したりっていうのは、誰しも休みの日とかにすると思うんですけど、ライブやることで、毎日初めて会うお客さんがたくさんいたりとか、遠くに住んでいるバンドマンと短いスパンで頻繁に会うというのは、なかなか珍しい出来事の1つやと思いますから。そういうライブが日常にあることで、自分が生活していく上での心の新鮮さを保ったりとか、前向きでいられたりとか、過去の後悔に対する向き合い方や解釈を変えてくれてたりとか......そういう機会をもらえる環境になってたんやと思うんですよ。1人の人間として生活していく上で、恵まれていたことの1つやったと思うので、それがなくなったことによって、自分がリフレッシュしたり変われたりする機会とか、コミュニケーションや発見ができる機会っていうのも、全部一気になくなったんやなっていう風に気づいて。でも、ツアーをすることによって、そういうものが自分の日常にまた戻ってくるかもしれない。状況は日々変化するので、急にどっかで中止・中断になるかもしれないですけど、それができるかもしれないと思うことで、今は大いな期待が自分のなかにありますし、お客さんにもそう思ってもらえていたらいいなと思いますから。

ーーご自身の感性や生き方においても、ライブは欠かせないものになっていたと。

TAKUMA:まぁライブやっているときは、素晴らしいライブをやることに集中しているから、「なんでライブを自分がやってるんだろう」とか、ライブが自分に及ぼしている影響とか、細かく思い返して分析することなんてないですけどね。たまたま長く考える時間があったから、そういう風に思い返したりしてるだけで。じゃあそういうものがなくなった今、ライブに変わるような自分の経験だったり、喜び、憩い、趣味、遊び......何でもいいんですけど、それくらい心や頭が活性化して、よりよく人生を楽しんでいけるものって何やろうとか。少しずつ自分たちの音楽活動がよくなっていったり、世界の状況も戻っていくことを見越してみたときに、より面白くて楽しくて熱い自分でいられるように、今何をしたらいいかなと思いながら生活するようにはしてますね。

 ライブって、やっぱりお客さんがいるじゃないですか。演奏することで、肉体的にストレス発散したりとか精神のデトックスになる側面もあるわけですけど、例えば「今日はあまり演奏うまくいかなかったな......」っていうときになんで落ち込むかというと、お客さんが見ているからで。まあライブやから当たり前なんですけど、やっぱり見てる人に「カッコええな」と思って欲しいんですよね。それは見てる人のためでもあり、自分がカッコいい誰かのライブを見て「よし、俺もバンドやろう!」って思った人間だから。みんなの前でバシっと決めて、それを自分でもカッコいいと思う、気持ちいいと思うっていうのがお客さんと一致していくなかに反省や落ち込みや感動があって、自分が毎日進んでいく、1日1日バージョンアップしていくものやと思うんで。そういう意味ではただ単に演奏するだけやなくて、ライブで誰かが「イェーイ!」と叫んだりとか、「今日はあんまりカッコよくねぇぞ!」とか「今日はいつもよりカッコええぞ!」とか言われたりすることに喜んだり、落ち込んだりすることによって、次はどうしようかなと思うーーそれがしょっちゅうあるというのは、生きてて面白いしハリがあるし、やりがいがある。どんどんカッコよくなっていったり、面白いおっさんになっていける大きなきっかけをもらえるわけやから、そういう場が今ないというのはものすごく大きいことやと思います......ただ、そんな風に思えたのは本当に最近ですけどね。この数カ月は何が何だかわかってなかったですから。

NAOKI:でも、今まで自分らがやってきたことを振り返ったときに、音楽シーンっていろいろあるなかでも、割と特殊なシーンにいたんやなって感じました。今一番よくないと言われている、人同士がギューギュー詰めになっている“密”の感じとか、人が人の上を転がっていったりとか......そういうのってやっぱり特殊じゃないですか。でも、感情のぶつかり合いを求めて来てくれていたお客さんも多かったと思うので、その日その日の感情の違いが、1日1日、1本1本のライブに出ていたなって。そういう人間臭さというか、人と人との対話のようなライブをずっとし続けてきたと思うんですよ。お客さんと近い距離で熱量を感じていたからこそ、ステージ上での“火事場のクソ力”的な、普段出せないパワーが考えることなく出てたんやろうなって。やっぱり自分の活動の中心はライブやったなっていうのは、より強く感じた期間になりました。

ーー次のツアーはそれを取り戻しにいくものにもなると思いますし、そういう今までになかった意識で臨むからこそ新しい形のライブになるかもしれないですよね。2020年内のツアーは時間を短縮して2部制で行うということですが、10-FEETがロックバンドとして率先してそこに挑んでいくのは素晴らしいなと思います。

KOUICHI:うん。やってみないとほんまにわからん部分があるんですけど、お客さんにはこういう状況でも来てよかったなと思ってもらえるライブができたらいいなと思います。

TAKUMA:ツアーっていうところは、自分たちの曲を演奏して、みんなにいろいろ感じてもらって、自分たちもまたその場で新しいことを感じたり、何かをもう一度思い出したりできる場やと思うので、やっぱり僕たちはそれをもう1回やりたいと思ってるんです。もちろん安全面に最善を尽くしてですけど、もし来て下さる方がいはったら、そういう風に思ってもらえるライブができたらいいなって心から思ってますね。

■作品情報
19th Single『シエラのように』
10月14日(水)発売
完全生産限定盤【CD+DVD+GOODS】¥2,980+税
初回生産限定盤【CD+DVD】¥1,800+税
通常盤【CD】¥1,000+税

<収録曲>
1.シエラのように
2.彗星
3.あなたは今どこで誰ですか?

*完全生産限定盤には「10-FEET X KiU コラボ・エコバッグ」付き
*完全生産限定盤・初回限定盤に付属するDVDには『京都大作戦2019~倍返しです!喰らいな祭~』のDAY1、DAY2のダイジェストを収録

<特典情報>
・TOWER RECORDSオリジナル先着特典
ポストカードカレンダー(完全生産限定盤ジャケットver.)
・全国CDショップ・webサイト先着特典
ポストカードカレンダー(初回生産限定盤ジャケットver.)

<初回封入特典>
『10-FEET “シエラのように" TOUR 2020-2021』(2021年7公演)
チケット先行受付シリアルコード
※全形態の初回プレス分にのみ封入
※受付期間:10月13日(火)正午~10月19日(月)23:59

■ツアー情報
『10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021』
2020年
10月14日(水)京都・KYOTO MUSE 各¥3,300
17:00/17:30 20:00/20:30 問.サウンドクリエーター 06-6357-4400

10月21日(水)静岡・浜松 窓枠 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.JAILHOUSE 052-936-6041

11月2日(月)熊本・熊本B.9 V1 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.キョードー西日本 0570-09-2424

11月4日(水)鹿児島・CAPARVO HALL 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.キョードー西日本 0570-09-2424

11月6日(金)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.夢番地広島 082-249-3571

11月11日(水)愛媛・松山WstudioRED ¥3,300
17:00/17:30 20:00/20:30 問.DUKE松山 089-947-3535

11月13日(金)香川・高松festhalle 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.DUKE高松 087-822-2520

11月20日(金)青森・青森Quarter 各¥3,300
17:00/17:30 20:00/20:30 問.G/i/P 0570-01-9999

11月22日(日)福島・郡山HIPSHOT JAPAN 各¥3,300
16:00/16:45 19:15/20:00 問.G/i/P 0570-01-9999

11月24日(火)新潟・新潟LOTS 各¥3,300
16:00/17:00 19:30/20:30 問.FOB新潟 025-229-5000

11月28日(土)富山・クロスランドおやべ 各¥3,800
15:30/16:30 19:0020:00 問.FOB金沢 076-232-2424

11月30日(月)神奈川・KT Zepp Yokohama 各¥3,800
16:00/17:00 19:30/20:30 問.SOGO TOKYO 03-3405-9999

12月2日(水)群馬・高崎club FLEEZ 各¥3,300
16:30/17:15 19:45/20:30 問.シグナス 028-637-9999

12月4日(金)茨城・mito LIGHT HOUSE 各¥3,300
17:00/17:30 20:00/20:30 問.シグナス 028-637-9999

12月8日(火)京都・KBSホール 各¥3,800
16:00/17:00 19:30/20:30 問.サウンドクリエーター 06-6357-4400

2021年
1月9日(土)福岡・Zepp Fukuoka 各¥3,800
問.キョードー西日本 0570-09-2424

1月14日(木)大阪・Zepp Osaka Bayside 各¥3,800
問.サウンドクリエーター 06-6357-4400

1月18日(月)愛知・Zepp Nagoya 各¥3,800
問.JAILHOUSE 052-936-6041

1月24日(日)宮城・仙台GIGS 各¥3,800
問.G/i/P 0570-01-9999

1月30日(土)北海道・Zepp Sapporo 各¥3,800
問.SMASH EAST 011-261-5569

2月4日(木)東京・Zepp Tokyo 各¥3,800
問.SOGO TOKYO 03-3405-9999

3月19日(金)沖縄・ミュージックタウン音市場 各¥3,800
問.キョードー西日本 0570-09-2424

◎枚数制限:1枚(親子チケット購入の場合は1台のスマホで2枚購入)
◎電子チケットのみ
◎新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえて変更されていく可能性があり、随時オフィシャルサイトにて情報を更新

10-FEET 公式HP

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