SIX LOUNGE、ロックンロールに込めた“荒々しさと包容力” 新曲も披露した地元・大分T.O.P.S Bitts HALL公演レポート

SIX LOUNGE、地元大分ワンマンレポ

 大分発の3ピース・ロックンロールバンド、SIX LOUNGEが地元・大分T.O.P.S Bitts HALLでワンマンライブを開催。チケットは大分県在住の方のみと限定され、この日は有観客と配信ライブという2つのスタイルで行われた。彼らは昨年12月に2ndアルバム『THE BULB』を発表していたが、同作を引っ提げた『SIX LOUNGE TOUR 2020"THE BULB"』は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中止を余儀なくされた。とはいえ、ただジッと沈黙していたわけではない。5月に完全生産限定でフォトブック+CDセット『風が吹くのを待っている』を通販オンリーで販売。内容的には既発5曲をアコースティックバージョンで仕上げ、シンセやハーモニカなどを導入し、原曲を再構築した素晴らしい作品だった。メンバーはコロナ禍の間に音楽ソフトで曲作りすることを覚えたようで、バンドフォーマットに縛られない、練り上げられたアレンジに聴き惚れるほど。その意味でもSIX LOUNGEの新たな魅力が浮き彫りになった傑作なので、是非とも多くの人に聴いてほしい。

 さて、ライブ本編はヤマグチユウモリ(Vo/Gt)、イワオリク(Ba)、ナガマツシンタロウ(Dr)のメンバー3人が円陣を組んだ後、西部劇『明日に向って撃て!』挿入歌であるB.J.トーマス「雨にぬれても」(原題:Raindrops Keep Fallin' on My Head)がSEで流れる。観客の拍手が沸き起こる中、耳をつんざくシンタロウのドラムを合図に、2ndアルバムのオープニングを飾る「ナイトタイマー」でスタート。続いて「STARSHIP」を終えると、「どんどん行こうか!」とユウモリが焚き付け、すかさず「★」へ。ヘヴィなリフと共に躍動感に満ちた骨太ロックを叩き付け、生命力溢れるギターソロに身も心も熱くなった。

ヤマグチユウモリ

 「そんな畏まらんでいいんで、ブッ壊して帰ってください」とMCを挟んで、「Lonely Lovely Man」に繫ぐ。シンタロウのパワフルなドラミングが楽曲を牽引し、リクの主張激しいベースラインがそこに重なり、ユウモリの高揚感漲る歌メロに鼓膜を鷲掴みにされた。人間誰しもが抱える孤独感を逆噴射させたようなスパークぶりに圧倒されるばかり。その熱量は、配信で観ていても現場(ライブハウス)に身を置いているような錯覚さえ抱くほどだった。

 そして、「切り裂く風」「DO DO IN THE BOOM BOOM」と下半身を強打するリズミックな曲調を連結させた後、うねりを上げるベースラインが特徴的な「ラブポップ」を披露。ミドルテンポのどっしり構えたロックサウンドだが、荒々しさとポップさの両方を兼ね備えた曲調もショウの流れにいいフックをもたらしていた。

イワオリク

 「久しぶりなんですよね、ワンマンライブ。思った以上にガチガチで......」とユウモリが口を開くと、「俺もちょっとほぐれてないかも。緊張してるわ」とリクが続き、カメラが付きまとうことに少し躊躇している様子だった。

 「心の中で歌って帰ってください!」とユウモリが告げると、ここでバラード調の「ホワイトノイズ」が始まった。ファルセットを活かした柔らかなユウモリの歌声、そこにリクが高音コーラスで抜群のハモリを加え、情景が脳裏に浮かぶロマンチックなムードに包まれていく。荒々しいロックンロールもいいけれど、こうした情感豊かな曲調にも心が洗われるようだった。さらにブルージーな色合いを浮かべた「発光」と畳み掛け、メロディの良さを聴く者の深部に染み渡らせていく。

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