KREVA主催『908 FESTIVAL ONLINE 2020』 初のオンライン開催で示した一つの高い“基準”

『908 FESTIVAL ONLINE 2020』レポ

 コロナ禍をうけ、様々なライブやフェスがオンラインにて開催されている2020年。様々なイベント主催者やアーティストが新しい状況への挑戦を見せているが、その中でもオンラインフェスというものの、一つの高い“基準”を見せられた。そういう実感がKREVA主催の音楽のお祭り、『908 FESTIVAL ONLINE 2020』にあった。

 2012年よりスタートし、今年通算9回目となる『908 FESTIVAL』。初のオンライン開催となった今年は、9月8日、ぴあアリーナMMで行われた。

 オープニングは出演者が一列に並んだ場面からスタート。全身純白の衣装に身を包んだKREVAがレッドカーペットの上を進むと、ステージではKREBandメンバーの柿崎洋一郎(Key)、白根佳尚(Dr)、近田潔人(Gt)、大神田智彦(Ba)、熊井吾郎(MPC+DJ)、SONOMI(Cho)がメロウなアンサンブルで迎える。そのまま「イッサイガッサイ 〜2019 ver.〜」を歌い始め、曲中では三浦大知、AKLO、ZORN、MIYAVI、PUNPEE、tofubeats、JQ from Nulbarichとこの日の出演陣をステージに呼び込む。

 この“絵”が、『908 FESTIVAL』の一つの象徴と言ってもいいだろう。ホストであるKREVAが中心になり、ここでしか観られないコラボレーションの数々が繰り広げられる。それをひとつなぎのショーとして展開する。そういう見どころたっぷりのステージだ。

 まずは一番手を任されたJQがKREBandをバックに「Sweet and Sour」、「Look Up」と伸びやかな歌声を響かせると、続けてはステージに戻ってきたKREVAと共に「One feat. JQ from Nulbarich」を歌う。パフォーマンスを終えた2人はトークブースに移動し『908 FESTIVAL 2018』での共演がきっかけで生まれたこの曲の制作の経緯を語り合った。

 続いて登場したtofubeatsはラップトップのスタイルで「LONELY NIGHTS」を高らかに歌い上げライブをスタート。「みなさん、手を挙げれますか?」と画面越しに呼びかけたtofubeatsは「Virtual Luv」でVaVaを呼び込み、さらに公開されたばかりの新曲「RUN REMIX feat. KREVA & VaVa」でKREVAがステージに登場し3人の力強いコンビネーションを見せる。「Too Many Girls feat. KREVA」はKREBandの生演奏によるバンドセットのアレンジでの披露だ。

 PUNPEEは原島“ど真ん中”宙芳とDJ ZAIによる4台のターンテーブルをバックに従えたスタイルで登場。「Renaissance」から「お隣さんより凡人」を続け、この日のステージへの思いやKREVAへのリスペクトを込めたフリースタイルのラップを披露する。見せ場になったのはフェス出演のきっかけになったともいう新作『The Sofakingdom』収録の「夢追人 feat. KREVA」だ。アリーナ2階席を歩きながらPUNPEEがラップするバースからカメラが切り替わり1階からKREVAが登場するというMVを彷彿とさせるドラマティックな演出も見せた。

 トークスペースではtofubeats、PUNPEEと3人が並び、楽曲制作の経緯や、トラックメイキングとラップの両方を一人でやるアーティストならではの判断基準、tofubeatsが始めたYouTube映像企画「THREE THE HARDWARE」にも触れつつ使っている機材やソフトウェアの話など、作り手同士のディープな会話を繰り広げる。

 MIYAVIはドラマーのBOBOと2人というミニマムな編成ながら、「Flashback」から代名詞のスラップギターで魅了し、飛び交うレーザー照明の中でド派手なパフォーマンスを見せる。音楽家の現状を視聴者に熱く語りかけたMCに続けて、ステージに赤と黒の衣装に身を包んだKREVAと三浦大知が登場し、「Rain Dance feat. KREVA, 三浦大知」を披露。重量感たっぷりのビートにヘヴィなギターリフ、炎を背後にしたシャウトが織り成す迫力の瞬間を見せた。

 この曲に込めた思いやアーティストとしての責任感を語り合う3人のトークに続けては、AKLOとZORNのラッパー2人が登場。2018年にジョイントツアー『A to Z TOUR 2018』を開催し、コロナウイルス感染拡大によって中止となったが今年3月にも『A to Z 2020』を予定するなど共演の機会を重ねてきた両者。「Fuego」などスキルたっぷりのラップを次々と見せ「炎の絵文字でチャットを燃やし尽くしてほしい」と告げた2人の声通りコメント欄には絵文字が並ぶ。KREVAを呼び込んだ「RGTO (REMIX)AKLO,ZORN,KREVA」に続いてはトークスペースに移動し、8月に公開されたばかりのZORN「One Mic feat. KREVA」についてスタジオで制作に参加したAKLOを加えてリリックの成り立ちを解説してから曲を披露。これもオンラインならではの演出だ。

 ステージを降りた2人が紹介し、続けては三浦大知が登場し、KREBandとダンサーを従え「Yours」からライブをスタート。静と動が交錯するような迫真のダンスと歌を披露する。SONOMIがコーラスを担当した「Blizzard」から「(RE) PLAY」と激しくアグレッシブな楽曲で汗だくになると「世界」では一転してディープな歌声を響かせ、圧倒的なパフォーマンスで魅了する。これまで『908 FESTIVAL』で様々なコラボを行ってきたKREVAとは、今回は「Your Love feat.KREVA」で共演。盟友としての関係性を感じさせる歌とラップのコンビネーションを見せ、主催者へとバトンを渡した。

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