嵐がファンとともに歩んだ21年ーー結成日を迎えて想う、5人から受け取った数え切れない感謝の結晶

嵐
 そもそも嵐がここまでブレイクした理由はなんだったのか。直接のきっかけは間違いなく『花より男子』やその主題歌「Love so sweet」のヒットなのだろうが、それは単に「世間が嵐を見つけるための」1つのトリガーに過ぎなかったのではないかと思う。嵐が本当に凄いのは、ブレイク以降、ほとんど失速せず、上昇し続けているということだ。そして、それを成し得ることができたのは、誰もが口を揃えて言うほどにまでなった「メンバー仲の良さ」が理由の一つだろう。

 嵐の間に流れている「仲の良さ」とは本当に稀有なもので、世間一般における「仲良し小好し」のような感覚をはるかに上回るものだと思っている。丸21年、ジャニーズJr.時代も含めればそれ以上の長い年月の間、ほとんど毎日続く関係を破綻させずに維持し続けるため、どれほどの心遣いと愛情が必要だろうか。血の繋がった家族や、愛を交わした夫婦でさえ難しいのに。それを当たり前のようにお互いのことを思いやって今まで続いてきたことが、嵐からの途方もない愛情の表れであり、彼らの魅力が衰えない理由に繋がっているのだろう。来年以降の休止の理由さえ、この地続きにある。「嵐が好きな嵐」を守るための決断だというのだから、本当に頭が上がらない。

 私は彼らを好きになった当初「青春を固めたような人たち」だと思っていた。むしろ、今もそう思っている。青春とはなにもかもが無条件にキラキラして見える、人生が一番輝いている特別な瞬間だ。私は実際そんな輝かしい青春時代を送ったわけではないが、彼らを見ていると、まるでそんな青春が私にもあったかのように錯覚させられる。嵐を通して、青春時代をやり直したり重ね合わせたりしていたのかもしれない。

 10代特有のドキドキ、ワクワク、キラキラ、トキメキ、そんな瑞々しさのまま、ギュッと濃縮してガラス玉に閉じ込めたような。そしてそれは光を浴びるほどに反射して、眩しいほどの輝きを返してくる。私にとって嵐は、奇跡の瞬間、麗しい輝きを閉じ込めたビー玉なのだ。そんな奇跡が、20年以上の間、鮮度を落とすことなくそこに在る、いや、在り続けている。この「不変性」こそが、嵐からファンへの最大級の誠意と感謝の結晶なのではないかと、そう思わずにはいられない。

 いつまでも変わらない少年性を帯びたまま、手を取り合ってどこまでも軽やかに飛躍していく嵐。その背中に、これからもまだまだ追い風を送り続けたい。きっと大丈夫。糸の先はいつまでもどこまでも、繋がっている。

■佐久良夏生
1988年生まれ。茨城出身。日本の音楽・コミック・サブカルチャーが好きです。

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