三代目 J SOUL BROTHERS 今市隆二&登坂広臣、歌でグループを支える2人 「冬空」から考えるツインボーカルの特徴

「冬空」から考える、今市・登坂のツインボーカルの魅力

 双方ともR&Bのルーツを感じさせるような艶やかなボーカリングを得意としており歌唱スタイルが近しいためか、交互に歌っていても統一感がある今市・登坂のツインボーカル。ここからはそのパート構成から生まれるさらなる魅力について、近年の楽曲の中では特に対比の分かりやすい「冬空」を例として掘り下げていこうと思う。

三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE / 冬空 (Music Video)
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE『冬空 / White Wings』

 彼らの楽曲の多くは今市が歌い出しを担当しており、サビの展開も含めて今市→登坂という構成が定番となっている。哀愁あるメロディが魅力のこの曲でもそれは同様であり、サビ(5:28~ )冒頭から今市がメロディを丁寧になぞり、美しいファルセットを響かせている。そしてその後、太くキレのよい登坂の歌声に交代することでボーカルラインに深みや重さが増していく。この音色の変化により、今市の歌声が豊かに色付けした景色に登坂の歌声が奥行きを作り、叙情的な美しさがよりダイナミックに響くように感じられる。

 また、この曲は2番でパートが交代するので逆のパターンについても考える。2番サビ(6:50~ )は、まず登坂のメリハリのきいた歌声が冒頭から強い情感を伝えている。そして次のパートでは、今市の繊細でしなやかな歌声によって1番とは逆にボーカルラインの厚みが減り、哀切の感情がより切実に響くように感じられる。1番と逆の変化が起こることで、最初に登坂が作り上げた情景が今市によって微細な部分まで色づけられていくような感覚があり、1番とはまた異なった情感を感じ取ることができるのだ。

 三代目 J SOUL BROTHERSは8月3日に配信シングル「starting over ~one world~」をリリースしたばかりだ。同曲は株式会社CyberLDHによる動画配信サービス『CL』のグランドオープン記念企画として、2015年にリリースされたシングル曲「starting over」をファンの歌声を加えてリアレンジした音源となっている。

 また、ボーカルの2人は近年それぞれがソロミュージシャンとしての活動にも邁進している。今市・登坂それぞれのソロライブ2本立てとして開催された『LDH PERFECT YEAR 2020 SPECIAL SHOWCASE RYUJI IMAICHI / HIROOMI TOSAKA』のライブDVD・Blu-rayが発売されたことも記憶に新しい。ソロではそれぞれの音楽性が色濃く反映された挑戦的な楽曲も多く、表現者としての彼らをより深く知ることができるので、こちらも興味のある方は是非チェックしてみてほしい。

 11月にはデビュー10周年という節目を迎える三代目 J SOUL BROTHERS。4月にリリースされた「Movin’on」の歌詞どおり新しい地平を切り開いていく彼らに、今後も大いに期待していきたい。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。『HIGH&LOW』をきっかけに大ファンとなったTHE RAMPAGEを中心に、LDH所属アーティストについて研究中。
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