むぎ(猫)が思い出させてくれる、“大切なもの”の存在 冒険ストーリー軸としたオンラインライブをレポート

むぎ(猫)、冒険軸のオンラインライブレポ

むぎ(猫)が手にした宝物は“この日の経験”

 終盤には、2019年末にリリースした『ねっこほって e.p.』から、表題曲の「ねっこほって」を披露。同曲は子どもにも人気で、ポップなサウンドに自然と身体が揺れる。自宅にいながら、思わず一緒に口ずさんでしまうのは、むぎ(猫)の音楽の魅力で、コメント欄には〈ここ掘れにゃんにゃん〉と、むぎ(猫)と一緒に歌う声が並んだ。

 そして、スペシャルゲストのDJみそしるとMCごはん(おみそはん)が呼び込まれると、コメント欄が「おー!」と大歓声で沸いた。「ミラクルバウムクーヘンアドベンチャー feat. DJみそしるとMCごはん」は、おととし開催された『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』での共演をきっかけに意気投合して制作され、『ねっこほって e.p.』に収録されたもの。おみそはんは、3月19日に東京・日本橋三井ホールで予定されていたライブにゲスト出演の予定だったが、中止になったことを受け、この日にスケジュールを調整してくれたという。感謝と共に「やっと今日、生で一緒に歌えますね」と言うむぎ(猫)に、おみそはんも「ワクワクしてます!」とうれしそうな様子を見せる。ノリの良いヒップホップサウンドに乗せて、ユーモアたっぷりのラップを繰り出したふたり。コーラスで「画面の向こうのみんなも一緒に!」と声をかけ、視聴者はコメント欄で〈COO! OCO! OC yo!(おいしーよ)〉〈穴ナナナナナ〉と一緒に歌って盛り上がった。

 ライブを終え、むぎ(猫)は「無事2時間のプログラムを終了できたのも、見てくださったみなさんのおかげです。これからどうなるか分かりませんが、その時々で、みなさんに楽しんでもらえること、できることを探してやっていきます。これからも応援よろしくお願いします」とコメントし、感無量といった雰囲気。星形のサインボールを客席に投げて(後日抽選でファンに届くそう)、感謝の気持ちを表した。

 この日むぎ(猫)が手にした宝物は、バウムクーヘン、思い出、そして配信に関わった仲間(スタッフ)やオンラインで見てくれたファンのあたたかさ。「またいろんな冒険をして、いろんなものを見つけていきたい」と話したむぎ(猫)。無観客とは思えないライブ感と一体感、そしてむぎ(猫)のメッセージが感じられたライブ。大人になる過程でつい忘れがちになってしまう大切なものの存在に、あらためて気づかせてもらった。

 終了後、コメント欄には「日曜の午後に素敵な時間をありがとう」「猫と一緒に見ました」「すぐ会えると信じてます」など、ファンのあたたかいコメントがずらり。そんなファンの気持ちに応え、9月9日にリリースする2nd EP『窓辺の猫 e.p.』から、「窓辺の猫 feat. つじあやの」のティザー映像をいち早く公開したことも話題になった。

■榑林 史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

むぎ(猫) オフィシャルサイト

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