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Sexy Zone「RUN」

 Sexy Zoneは、8月5日に18枚目となるシングル『RUN』を発売。表題曲は、メンバーの中島健人と平野紫耀(King & Prince)がW主演を務めるTVドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)を主題歌に起用されており、疾走感あるロックチューンに仕上がっている。〈昨日未満でも Yeah 明日以上へと〉という聞き手を鼓舞する楽曲終盤の歌詞も、ドラマの内容と高い親和性を示すほか、メンバー内でも中島の“憑依型”といえる歌唱法や、切れ味の冴えたダンスパフォーマンスに視線を特に奪われることだろう。

Sexy Zone「RUN」Music Video(short ver.)

 そんな疾走感や楽曲に一貫した躍動感を生み出す正体が、歌い出しからサビに掛けてのサウンドの“抜き差し”にある。順に追っていくと、中島の迫力ある歌声に菊池風磨の繊細なコーラスが重なる冒頭では、アコースティックギターを中心据えて、ややサウンドを抑えめに。続くマリウス葉と佐藤勝利の歌唱パートでは、華やかな金管楽器のループを重ねるほか、バンド隊が先ほどよりも前面に出てくることで、トラックの強度を頑丈にしていく。ここでは、マリウスのビートに絡みつくような歌声と、佐藤が拳をぶつけるように放つ〈ここでやめんな やめんなよ〉という力強いメッセージが強く印象に残る。

 そこから、菊池のソロパートに移るタイミングでの壮麗なストリングスの妙。彼の優しく馴染む歌声を響かせつつ、一旦は金管楽器などのサウンドを抜くことで、この後のサビですべての楽器を重ねて音圧を強めた際、楽曲としての大きなメリハリが生まれる仕掛けとなっている。

 また、サビの歌い出しにある、トラックと同期した粒の細かいスタッカートも相まり、普通に流して歌うよりも歌詞がより頭に残りやすく、自身が困難に直面した際、その壁を少し、また少しと突き破っていくようなイメージも自然と思い浮かぶのではないだろうか。全体を通して躍動感ある構成が、「RUN」の歌詞が持つ底力を遺憾なく発揮してくれているのだろう。

 ほかにも、ここまで紹介した全楽曲ともに、ストリングスが効果的に用いられていたり、その力加減こそ違えど、聞き手に勇気ある一歩を踏み出させ、明るい未来へと背中を押す内容だったりと、様々な共通点を見つけることができた。彼らの楽曲が、今回の『ミュージックステーション』を通してどのように視聴者の胸を打つのか。そのステージを心待ちにしながら、上記の楽曲を繰り返し聴き込んでおくのはいかがだろう。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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