WANIMAが歌う、思い出を抱きしめ未来へと向かう大切さ 一人一人の“大切な瞬間”に訴えかける新曲「Milk」

 オフィシャルサイトに掲載されているKENTAのメッセージには「大切な人たちとの大事な時間を歌った新曲です」とある。これは、ある意味これまでのWANIMAの楽曲からも感じてきたテーマである。しかし、この状況下においても止まらない彼らの進化と、聴き手である私たちの思いの深化が、この楽曲をより特別なものにしているのだと思う。あの頃を歌っているようで、とんでもなく「今」な楽曲として響いてくるのは、そういうところもあるのだろう。

 また、〈空をのぼる/ミルクの匂い 白い記憶をしぼる〉〈ミルクが溢れかわいて跡になった〉という締めくくりや、軽快な曲調から「未来」をも感じるのは、私だけだろうか。今は未知の状況を進んでいる私たち。だけど、振り返ってみると、これまでも未知なことはたくさんあった。そのすべてを、大切な人と乗り越えてきた。原点にかえってみれば、そういうことなのかもしれない。だから、これからも、大切な人と大事な時間を重ねて生きていこう――勝手な想像かもしれないが、私はこの楽曲を聴いて、そんな決意が湧いてきた。

 この楽曲をライブでシンガロングできる日。それがいつになるのかはわからないけど、絶対に見たこともないほど眩しい光景が広がることは断言できる。一人ひとりの思いが輝いて、歌になる。この楽曲は、そんなライブという唯一無二の場所にたどり着くまでの光だ。

Milk

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

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