wacci「別の人の彼女になったよ」人気が「THE FIRST TAKE」で再燃 SNS時代の理想形ともいえるヒットの構図

wacci「ベツカノ」ヒットはSNS時代の理想形?

 「THE FIRST TAKE」で披露したバージョンではアコギの音色がヒリつくような切実さを醸し出し、歌詞の世界観を一層鮮やかにしていたこともあってか、楽曲の注目度も再燃。 いまだに1日あたり15〜20万再生が続いている状態で、カバー曲をアップするユーザーもふたたび増加中。また同曲は、7月29日に発売されるジェジュンのカバーアルバム『Love Covers II』にも収録されるという。「ベツカノ」フィーバーはまだまだ終わりそうにない。

wacci(橋口洋平) - 別の人の彼女になったよ / THE FIRST TAKE

 SNSをきっかけにヒットする楽曲は近年増加傾向にあるが、ここまで幅広い層に届き、しかも何度も繰り返しバズを生むとなると他になかなか例が浮かばない。聴き手の熱量をキープし続けられた要因のひとつが、各所でなされるさまざまな分析だろう。シンプルで心にしみるメロディに共感度の高い歌詞、さらには動画配信サイトの普及により誰もが気軽にカバーできる土壌など、本作を取り巻くヒットの構図はすでにいくつも言及されているとおりだ。それらは聴き手だけでなく、伝える側にとってもこの楽曲がいかに語り尽くせない魅力にあふれているかの証でもある。作詞作曲を手掛けた橋口自身も「別の人の彼女になったよ」について“誰かに教えたくなる曲”と語っているが、聴き手と伝え手が双方向に共有できる世界観があるというのは大きな強みなのではないだろうか。まさにこの時代だからこそヒットした楽曲と言える。

 そして、wacciは6月30日に音楽番組『PLAYLIST』(TBS系・毎月最終火曜 深夜1時58分)に出演して「別の人の彼女になったよ」を歌唱予定。再びSNSを賑わせることは間違いない。また、7月からは『wacci Streaming Live Tour 2020』と題して全6公演の配信ライブツアーも開催し、コロナ禍の新たなライブの形にもいち早く取り組むという。“アコースティック”や“ラブソング”など毎回テーマを変えて選曲するコンセプチュアルなライブとなるようだが、おそらく「別の人の彼女になったよ」もなんらかのかたちで披露されることとなるだろう。SNS時代に多くの人の心をつかんだ名曲は、こうしたさまざまな発信のかたちにフィットしながら、今後も広く長く聴き継がれていくはずだ。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

■配信情報
弾き語り音源
「別の人の彼女になったよ - From THE FIRST TAKE」
「足りない - From THE FIRST TAKE」

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