Ado迎えたjon-YAKITORY「シカバネーゼ」バイラル好調 “やり場のない心情”を描いた現代のミクスチャーロック

 今のところ「シカバネーゼ」のヒットはTikTokによるものが大きいが、投稿を見ていると〈本性なんて見せない/美しい僕らのまま/さあ神様 壊して壊してよ ねぇ〉という箇所が多く使用されている。もちろんこの部分だけをピックアップして独自解釈することも可能だが、楽曲全体はやり場のない絶望や怒りに対してもがくような内容になっていて、そうなる前に「美しいままの姿で壊してくれ」と叫ぶ切実さが、多くの人の心を虜にしているのではないだろうか。

 なお、歌詞だけ見ると“重さ”や“暗さ”が際立つが、そこに「シカバネーゼ」という言葉遊び的なタイトルが付いていることも、同曲が受け入れられやすくなっているポイントだろう。〈同じように戻せはしない/最後にまた /笑って笑ってよ僕に〉というパートも、コロナ禍で変わってしまった世界に絶妙に合っているし、やはり優れた楽曲は図らずも世の中とリンクしてしまうものなのだろうか、と思わざるを得ない。

 jon-YAKITORYは、6月7日には古川由彩をボーカルに迎えた「ススメ!」という曲もリリースしているが、こちらは生きづらい世の中での孤独な心情をキャッチーなサウンドで昇華したダンスポップになっている。“ネガティブ”をバネにして生まれるjon-YAKITORYのポップソングたちは、今後も大いに話題になりうる可能性を秘めている。

ススメ! / jon-YAKITORY feat. 古川由彩 (Official Video)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる