乃木坂46 生田絵梨花、グループの魅力を横に広げる音楽面での成長 ソロでの活躍を振り返る

 『ロミオ&ジュリエット』『レ・ミゼラブル』とミュージカル経験を積んだ生田が、抜群の歌唱力と卓越した演奏技術を披露したのが2017年12月に開催した初のソロ公演『MTV Unplugged』だ。宇多田ヒカルや平井堅、KinKi Kidsら錚々たるアーティストが出演してきたライブ番組。この公演で生田はなかなか光が当たらない乃木坂46の楽曲や、普段歌うことのできないカバー曲を歌唱している。舞台出演を経てより太く、広がった音域。『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)で昆夏美と共に歌い、後にソロでもパフォーマンスした『アナと雪の女王』の挿入歌「生まれてはじめて」は、披露するたびに彼女のボーカルの成長を感じさせる楽曲である。

乃木坂46『何度目の青空か?』

 『1番だけが知っている』(TBS系)のクラシック声楽家が投票した「本当に歌がうまい女性アイドル総選挙」で第8位に選ばれた生田は、「ナチュラルボイス」「自然な地声と裏声への切り替え」を評価されていた。その2つの要素は、乃木坂46としての生田のソロ曲「あなたのために弾きたい」にて遺憾なく発揮されている。ちなみに、ヘヴィメタル調の「低体温のキス」や、ミュージカル調の「命の真実 ミュージカル「林檎売りとカメムシ」」と難易度の高いソロ曲が与えられているのも、彼女のポテンシャルの高さを立証している。昨年の『真夏の全国ツアー2019』では、「白米様」を「Dear white rice」として、映画『ドリームガールズ』風アレンジでパフォーマンスしていたのも印象深い。

 先述した『FNS歌謡祭』のほかに、『MUSIC FAIR』、『うたコン』(NHK総合)でも数多くのミュージカル楽曲やカバー曲を披露してきた生田。山崎育三郎をはじめ、大勢のキャスト陣、アーティストとのコラボレーションは数え切れないが、その中でもKinKi Kidsとの共演が多いのもイメージに強い。「もう君以外愛せない」のピアノ伴奏を務めた『FNS歌謡祭』、さらに『堂本兄弟2018みんな集まれ!忘年会SP』(フジテレビ系)では「愛のかたまり」の演奏に加え、コーラスも担当。「もう君以外愛せない」の共演では、緊張する生田に堂本光一が「ピアノに合わせて歌うね」と、堂本剛が「好きに弾いていいよ」と声をかけた心温まるエピソードもある。

 乃木坂46の看板を背負いながら、一人のミュージカル女優として羽ばたく生田。彼女が決まって口にするのは、飽くなき向上心だ。

「歌は一生懸命広げようとしている上下の幅だけではなくて、『前後の幅もある』そうなんです。まだそこは理解できていないんですが、歌ってものすごく奥が深いんですよね。そういうことを繰り返しながら、気持ちは強く、長く踏ん張り続けていきたいなと思っています」(『日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special』(日経BPムック)より)

 これからも、生田は自身の活動を通して、乃木坂46を横に広げ続けていくはずだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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