「歌ってみた」動画が話題 DOBERMAN INFINITY KAZUKI、女性ボーカル曲カバーが生み出すシナジー

ドーベルKAZUKI、カバー曲が生むシナジー

YOASOBI「夜に駆ける」by KAZUKI(DOBERMAN INFINITY)#3

 そして第3弾は現在進行形でヒット中のYOASOBIの「夜に駆ける」。星野舞夜の小説『タナトスの誘惑』を原作に制作された同曲を、KAZUKIは、原曲のポップなテイストとは一線を画す王道バラードの様相でカバー。あえてアレンジを変えることで、メロディの美しさ、歌詞の秀逸さを引き立たせるとともに、どんな楽曲でも歌いこなすポテンシャルを改めて見せつけた。KAZUKI自身、「この楽曲には、僕が今までやってきた音楽ジャンルとはまた違った素晴らしさがあり、自分の中でも新たな挑戦の意味も込めて歌わせていただきました!」とコメントしていることからも、いい手応えがあったことが窺える。

 LDH所属のアーティストでは、これまでもDEEPがMISIAの「Everything」を、EXILE ATSUSHIが美空ひばりの「愛燦燦」や中島みゆきの「糸」をカバーするなど、女性アーティストのカバーを多く発表してきた。そこには普段とは異なるテイストの楽曲や、あえて女性の曲に挑むことで、歌い手としての可能性や新たな魅力が開花するという発見も含まれていたように思う。今回のカバーシリーズでも、KAZUKIのボーカルとしての評価を高めたのはもちろん、既存のファンを超え幅広い層に歌を届けることに一役買ったといえるだろう。結果、稀代のボーカリストの存在を世に知らしめることに成功したのである。

 KAZUKIが所属するLDH JAPANは、新型コロナウイルスの影響により、2月26日から12月26日までの所属アーティストによるライブ公演、全168公演の中止を発表した。DOBERMAN INFINITYも3月から開催を予定していた全国ツアーが延期に。そんな中でのKAZUKIのパフォーマンスは、今後のグループへの期待を高めるとともに、いち歌い手として新たな扉を開くきっかけともなるのではないだろうか。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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