Novelbrightに聞く、ブレイクや偏見の目にも動じないバンドの核「上を目指すためにすべきことを常に考えている」

Novelbright、ブレない強み

「出会った頃の印象は絵に描いたようなロックキッズ」

2017年4月 ライブ模様

ーーNovelbrightは2013年に結成されていますが、去年、ベースの圭吾さんの発信で、SNSを通して路上ライブの模様が拡散されたことをきっかけに認知を広げました。ここまで6年の月日がありますけど、この6年間は、どんな期間だったと思いますか?

雄大:路上ライブが拡散されるまでは、地道に全国のライブハウスを駆け巡っていて、いまみたいに「SNSを活用しよう」みたいな考え方はほとんどなかったんですよね。先輩バンドたちが歩んできたように、全国のライブハウスでイベントを組んで対バンのお客さんをとっていくとか、YouTubeにMVを上げるっていうことを繰り返していく。その地道な努力がいつか実る日が来るだろうと思い描いていて。でも、もちろんすぐにドカンと広まることもなく、10人だったお客さんが12人になって、15人になって、20人なりっていう感じでした。だから……ずっと地下にいて、2019年の下半期にやっと地上に出ることができたっていう感覚はあります。

聡次郎:圭吾以外のメンバーは古風というか、地道に活動しながら、芽吹くときを待つっていうスタンスで信じてやってきていたんですよね。だからこそ、SNSを通して動画が拡散されるっていうのは本当に今の時代ならではで、驚きました。時代によって、バンド活動の在り方やプロモーションの仕方も変えていくべきものなんやなぁとも実感したし。

雄大:そうやね。去年一気に広まったタイミングは本当に驚いたし、同時に、「俺たちのやり方はこれなんや」っていうものを見つけることができた感じもあって、自分たちの活動方針に自信がついた瞬間でもありました。もちろん、「バンドがSNSやTikTokを使うのか?」とか「ロックじゃない」とか偏見を持たれる部分もあると思うんですけど、正直、「売れたもん勝ち」やと思うし、ライブハウスを駆け巡っていた頃も、今も、僕自身の気持ち自体はなにも変わっていないんです。「バンドで上を目指すためになにをすべきなのか」っていうことをずっと考えている。もちろん、その時々の流行や、それに対してのスタンスは変わっていきますけど、根柢で考えることはずっと変わっていない気がしますね。

2018年12月 ライブ模様

ーー聡次郎さんは2017年にNovelbrightに加入されていますが、加入当時、Novelbrightはどのように見えていましたか?

聡次郎:出会いの話になるんですけど、加入する前、僕はスタジオでアルバイトをしていて、Novelbrightは、そのスタジオを使ってくれていたバンドだったんです。出会った頃の印象は、もう絵に描いたようなロックキッズというか。「ONE OK ROCKが好きなんやろうなぁ」っていうイメージでしたね(笑)。

雄大:ははは(笑)。

聡次郎:年齢にしてはライブハウスにたくさん出ているし、ツアーも回っているし、すごく活発なバンドやなとも思っていました。音楽的な部分でいうと、やっぱり雄大の声が特徴的で。スタジオ店内で曲を流していたときも、「歌に芯があるなぁ」とその頃から思っていましたね。言い方に語弊があるかもしれないですけど、「ボーカルだけ飛びぬけて目立つバンドだな」とも思っていました(笑)。当時は音楽性をラウドっぽいものに振り切っていたので、それもよさではあったんですけど、「もっと老若男女に届くような音楽性にしたらどうなるんやろう?」とも思っていて。

「なにがなんでも“Novelbright”で売れたい」と思っていた

2019年7月 路上ライブの模様

ーースタジオ店員だった聡次郎さんは、どういった経緯で加入することになったのですか?

聡次郎:Novelbrightが2016年に1度活動休止をして、雄大と前のベースが新しいメンバーを募っていたときに、今のメンバーである海斗とねぎが入ったんです。そのメンバーで再出発する、という話を僕もスタジオ店員として聞いていたんですけど、全員がスタジオに揃ったときに、「聡次郎も一緒にスタジオに入ってみん?」みたいな感じになったんですよね……なんとなく。

ーーなんとなく、なんですか。

聡次郎:なんとなく、です(笑)。ほんとうに軽い気持ちで誘ってくれたんだと思うんですけど、いざ一緒に音を出したら、すごく安心感があったというか、初めて音を合わせていたのに、「もう3~4年一緒にやっていたっけ?」っていうくらいのフィーリングの合い方だったんですよね。

ーー雄大さんには、聡次郎さんと一緒にバンドをやるビジョンがあったわけですよね?

雄大:いや、それが……今のメンバーである海斗くんにしても、ねぎにしても、圭吾にしても、一人ひとりに誘った経緯が深くあるんです。でも、総ちゃんに関しては、ビックリするくらい深い経緯がないんですよ(笑)。気がついたらメンバーだった、くらいの感じで。

聡次郎:ははははは(笑)。

ーーそうなんですか(笑)。

雄大:一応、聡ちゃんは海斗くんと地元が一緒というのは聞いていたし、ギタリストであることも知っていたので、「1回、一緒に音出してみようか」と誘ったんですけど、それは本当に軽いノリだったんですよね。でも、いざ音を出したら「なんだか、すごくいいなぁ」となって。そのスタジオ終わりに居酒屋に行ったんですけど、そのときに「聡ちゃんも入るよね?」「うん、入る~」みたいな感じになっていたんですよね(笑)。

聡次郎:ほんと、そんなノリやったなぁ(笑)。

2019年9月 路上ライブの模様

ーーなるほど(笑)。結果として今、雄大さんは唯一、結成時からのオリジナルメンバーとなりますが、解散やソロ転向などの選択肢を選ばず、メンバーが変わりながらも「Novelbright」の看板を掲げ続けることができたのは、何故だったのでしょうか?

雄大:ひとつ思っていたのは、やっぱり、Novelbrightって僕にとっては初めて組んだバンドなんですよ。初めて組んだバンドで売れたら、カッコいいじゃないですか(笑)。

ーーはい(笑)。

雄大:それに、Novelbrightというバンド名もかなり気に入っているし、このバンドで作ってきた曲もたくさんあって。もしバンドを変えてしまったら、その曲たちをもう演奏しなくなってしまうと思うんですよ。それもイヤだったんですよね。例えば『SKYWALK』に入っていた「Walking with you」とか、新作の『WONDERLAND』に入っている「Photo Album」という曲なんかは、10代の頃に作った曲なんです。そういう曲たちに対する思い入れもあるので、「なにがなんでもNovelbrightで売れたい」と思っていましたね。

ーーなるほど。

雄大:ただ、音楽を辞めようと思ったことはないんですけど、1回だけ、今のメンバーが入る前の活動休止中に、Novelbrightを解散して別の形で音楽活動を始めようかなと思ったことはあったんです。でも、当時のメンバーが「いや、Novelbrightで活動していこうよ」と言ってくれて。「たしかに、そうやな」と思いました。結果、Novelbrightとして続けてきて本当によかったと思いますね。

ーー5月27日に1stフルアルバム『WONDERLAND』がリリースされますが、今、新型コロナウイルスの影響で、世界中が、先の見えない混沌とした状況のなかにありますよね。今日もリモートで取材させていただいていますし、こうした状況下で自分たちの新しい作品がリリースされることに関しては、どのような気持ちですか?

雄大:そうですね……イベントやツアーもなくなってしまったんですけど、まず、作品が届けられることにホッとしているという感じです。音楽さえも届けることができなくなってしまったら、僕らの存在意義はないと思うので。やっぱり音楽を届ける仕事だし、音楽さえ届けることができなくなってしまったら、僕らはどうしたらいいのかわからない。ライブもできなくて歯がゆい思いをすることもあるけど、今はサブスクも発達しているし、自分たちが作った音楽を届けることができるのは、本当によかったなと思います。

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