ずとまよ、Eve、天月、まふまふ……コロナ禍におけるネット発アーティストの動向は? 視聴者との結束を高める発信方法

結束感を生み出す配信を通じたコミュニケーション

 TwitCasting(通称:ツイキャス)を中心として、コメント機能が搭載され、リアルタイムで配信ができるサービスは、アーティストと視聴者が別々の場所に居ても、双方向のコミュニケーションを取ることを可能とするものとして、これまで多くのネット発アーティストが用いてきた。彼らと視聴者が、フラットな関係性を構築できているのは、生のライブ以上に配信を通じた地道なコミュニケーションを積み重ねてきたことにある。それは、天月-あまつき-が、開催を延期した『天月-あまつき-10th Anniversary Live Final!!~Love&Pop/Rock&Cool~』公演の1日目にあたる4月28日に配信した『天月-あまつき-スペシャルミニライブ!~おうちにいようよ~』でも顕著に表れていた。同配信では、バンドメンバーが自宅、天月-あまつき-がスタジオから出演し、5曲を生披露。MC中、天月-あまつき-は、目の前にあるスクリーンに映ったコメントを拾う中で、リラックスした会話を繰り広げていた。また、天月-あまつき-と親交の深いまふまふも、5月15日に『【カメラ枠】まふまふと飲み会生放送【まふまふの生放送#10】』を放送。自身の作業部屋にて、スタッフの用意したお題に解答しつつも、コメントに目を配る彼は、ひとりで居るとは思えない程のはつらつとした姿を見せていた。ライブとは感覚的には異なるものの、アーティストと視聴者の間にコメントを挟むことで、見えない壁が完全に無くなる配信にあるのは、生のライブに似た結束感だ。

【カメラ枠】まふまふと飲み会生放送【まふまふの生放送#10】

 このように、以前からネットシーンでは、互いが常に画面越しに存在する中でも、確かな繋がりを求める配信が、幾度となく生まれてきた。先鋭的ともいえるネット発アーティストの動向は、暗雲が漂い始めたリアルな今を乗り越えていくための微かなヒントをくれることとなるだろう。

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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