坂道シリーズが同性からも支持を集める理由 女の子に希望を与えるメンバーの強固な志

 乃木坂46の白石麻衣が、自身の2nd写真集『パスポート』の巻末インタビューで、これまでにないセクシーなショットを披露したことに対して「中途半端なものにはしたくなかった」と語った。やわらかな印象から離れた、たくましい発言も彼女たちはたびたび発する。不言実行、に近いのだろうか。言わずとも、心の奥底に熱い想いを潜めて黙々と努力を重ね、自分たちの夢を実現させる。そうした彼女たちの姿は楽曲ともシンクロし、坂道シリーズが歌う“僕”の歌詞は、女の子の応援歌的な立ち位置になっていると思う。乃木坂46のメンバーが卒業時に選曲することも多い「きっかけ」。“決心のきっかけは理屈ではなくて いつだってこの胸の衝動から始まる 流されてしまうこと抵抗しながら 生きるとは選択肢たった一つを選ぶこと”。進路でも、友人家族とのことでも、恋愛でも、あらゆる場面で自分なりに最良の選択を重ねる勇気を後押ししてくれる楽曲だ。欅坂46の隠れた名曲「エキセントリック」。〈I am eccentric 変わり者でいい/理解されない方が よっぽど楽だと思ったんだ 他人の目 気にしない 愛なんて縁を切る/はみ出してしまおう 自由なんてそんなもの〉。普通ってなんだ? と問いかける歌詞に深く頷きながら、自分を貫く決意を高めてくれる。可愛さが目立つ日向坂46も、けやき坂46から現在に至るまで苦労を重ねたグループだ。アルバムに収録されている「永遠の白線」。〈そう人は誰も皆 自分から諦めてしまう よく頑張ったと 言い訳ができればいいのか〉。希望の涯を何度も確認し、笑顔を止めずに突き進んできた彼女たちの懸命さが宿るような歌詞。可愛さだけで片付けてほしくない、坂道シリーズの“強さ”というDNAが日向坂にも引き継がれている。グループを愛している印象の強い坂道シリーズのメンバーたちは切磋琢磨し、互いを支えながら変化していく。

乃木坂46「きっかけ」
欅坂46「エキセントリック」
けやき坂46「永遠の白線」

 坂道シリーズに対する一般的なイメージは、可愛いから人気が高い、と認知されているだろう。しかし、こうした強さや懸命さ、自分自身を見つめて変化を恐れない姿勢の上に成り立っている「可愛さ」だからこそ、より強固に惹かれるのだと思う。乃木坂46を卒業した生駒里奈が「自分の可能性を認めてもらいたかった」と、語っていた。誰のためでもなく、自分のために変身することへの願望を強く持った女の子たちが、ファッション誌の誌面や楽曲を通してどんどん自信を持っていく様は、あらゆる女の子の希望だと思わずにはいられない。前述した遠藤も、圧倒的なスタイルの良さと表現力はもちろんのこと、そのどこか寂しげな表情を見せる女の子がどのように変化していくのか楽しみである。

※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上お詫びいたします。

■羽佐田瑶子
ライター。映画会社、訪日外国人向け媒体などを経て、現在はフリーのライター、編集。関心事はガールズカルチャー全般。主な執筆媒体はQuick Japan、She is、テレビブロス、CINRA.NETなど。Twitter

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