KinKi Kids「KANZAI BOYA」のインパクト ファンクの神髄と恩師への愛情を表現した、二人の記念碑的な楽曲に

 KinKi Kidsとジャニー喜多川氏の四半世紀を越える関係に裏打ちされた「KANZAI BOYA」。作詞、作曲、アレンジ、演奏を含め、すべてが剛の色で彩られたこの曲がKinKi Kidsのシングルとしてリリースされるというニュースは、かなり意外だった。もともと剛は、自身のソロ活動とKinKi Kidsを完全に切り離していたからだ。おそらく彼のなかには、“KinKi Kids=エンターテインメント/人から求められるもの”、“ソロワーク=アートの追求/自身の内面世界に根差したもの”という住み分けがあり、筆者も“その両方が混じることはないんだろうな”と思っていた。しかし、二人はこの曲をシングルにして、より多くの人に聴かれることを望んだのだ。

 剛の音楽的志向が反映された楽曲が“KinKi Kidsのポップス”として成立している大きな要因は、光一のボーカルとダンス。『MUSIC FAIR』の出演時に光一は、剛が楽曲の背景やジャニー氏への思いを話した後、「そんなに真剣に話すようなことでもなくて(笑)、エンタメとして素晴らしい曲なんですよ」という趣旨の発言していた。深いメッセージ性を持った作品を誰もが楽しめるものに昇華するセンスもまた光一の持ち味であり、KinKi Kidsをエンターテインメントして成立させている大切な要素でもあるのだ。

 マーク・ロンソンの「Uptown Funk ft.Bruno Mars」(もしくはレキシの「KATOKU」)のように80年代オマージュ満載のMVも話題。剛のアーティスト性、光一のエンターテインメント精神が一つになり、二人の育ての親であるジャニー喜多川氏への愛を真っ直ぐに、楽しく表現した「KANZAI BOYA」。この曲はまちがいなく(「愛のかたまり」と並び)KinKi Kidsの記念碑的な楽曲になるだろう。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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