京都VOXhall、札幌COLONY……相次ぐライブハウス閉店を受けて音楽ファンができること

 ただし、アーティストや音楽業界側はただ下を向いて、この事態をやり過ごそうとしているわけでないようだ。COLONYが閉店を発表した夜、山口一郎はCOLONYの店長である小野寺司典氏とInstagramでライブ配信を行った。その配信では、なぜ閉店という決断をくだしたのか、今後どういうアクションを取っていくのか、といったやり取りが行われていたが、基本的に前向きなトーンで今後について話していたのが印象的だった。自粛という現実を受け止めながらも、どうしたら恒常的にライブハウスを中心とした音楽文化を回していくことができるのか。そんな建設的な言葉がかわされているように感じた。

 ライブハウスを支えようという動きは様々な形で表面化している。アーティストが提供する楽曲を集めたオムニバスアルバムをオンラインで販売し、その収益を寄付する「LIVE HOUSE AID in SAPPORO」という試みがスタートした。

 また、toe発起によるライブハウスを支援するプロジェクト「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」も発足。自分が応援したいライブハウスのECストアを検索/選択し、「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19 フォルダ」のアクセス権をダウンロード購入することで各ライブハウスを直接支援することができる取り組みだ。このプロジェクトには、東京事変、the HIATUSやBRAHMANといった名だたるアーティストたちが賛同している。また、ドリンクチケットを前払いしてライブハウスを支援するプロジェクト「SAVE THE LIVEHOUSE」というプロジェクトも立ち上げられた。どのプロジェクトにも共通していえるのは、今できる範囲で価値を提供し、その経済活動を通してライブハウスを支援しようという「前向きな意志」が宿っていることである。

 イチ音楽ファンとして切に願うのは、末永く音楽という文化が残ってほしいということ。そして、その文化の輪の中に、ライブハウスも生き残っていってほしいということなのである。自分よりも若い人たちが「日本の音楽」や「ライブハウスシーン」に少しでも希望を描けるような未来になってほしいから。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる