lyrical schoolが考えるアイドルとラップグループのバランス感覚 それぞれが確信する「今の5人だからできること」

リリスクが考える“バランス感覚”

lyrical schoolだからできる表現「見る人にどう思ってもらえるか」

ーー次は「Last Summer」です。リリスクは今までも夏曲をいろいろ出していますけど、この曲はすごくノスタルジックな感じで、全然違うタイプの夏曲ですね。

lyrical school /Last Summer (Remote Free Live /Digest)

minan:今まで夏曲はアゲ曲しかなかったので、この感じは初ですね。マイナビBLITZ赤坂のライブで一度だけこの曲を披露したんですが、私たちもその時は曲をまだ掴みきれなくて。だから、この曲をEPに入れることになって、最初は少し不安もありましたがレコーディングしてみたら、ちょっとキーも変わっていてめちゃくちゃ格好良い曲に仕上がりました。

risano:出来上がった時はビックリするくらい良くて。私は今回のEPで一番だと思うくらい、好きな曲ですね。

yuu:レコーディングではオートチューンを使っているんですが、その効果もあって、録った後によりエモさを感じて。出来上がった曲を聴いて、なんだか泣いちゃいそうになりました。

ーーこの曲の歌詞は、誰もが「あ~、そういうことあった」って共感できるような内容でもありますね。

minan:プロデューサーが、「感情が高ぶっている時に、2時間くらいで歌詞を一気に書き上げた」と言っていて。だからこれだけ歌詞もエモいのかなって。

ーー本当に個人的な思い出だったり、実体験だったりするんでしょうね。花火のところとか。

yuu:あ~、花火のところはヤバいです。

ーーあと〈“楽しいことだけ楽しいだけやったら楽しい”〉とか。よく聞けば当たり前のことだけど、なんか響くなって。

risano:私もそこが好きですね。聴いていて一瞬「?(ハテナ)」となるんだけど、「その通り!」って。ここは歌えば歌うほどそういう気持ちになって、ずっとリピートしちゃいますね。

ーー次はKick a Showとの「Dance The Night Away feat.Kick a Show」です。この曲はストレートな80’sダンスチューンで、クラブとかでかけてもハマるような曲ですね。

risano:こういう曲って珍しいよね? 今までのリリスクの曲には無かったような、すごく新鮮味が感じられました。

hinako:Kick a Showさんの声を聴いて、「かっこいい!」って思いました。

hinako:今回のEPは雰囲気が5曲とも全部違いますが、この曲は「一体、こんなにセクシーに歌えるのか?」と最初思いました。私は歌い方が結構アイドル寄りなので、大人っぽい雰囲気を出せるのかが、すごく不安で。レコーディングにKick a Showさんが来てくださってディレクションをしていただいた時に「声の質をもっと大人っぽく」とか、「いろんなセクシーな人を想像しながら歌ってみて」ってアドバイスをいただいたりしてようやく出来た曲でした。

risano:Kick a Showさんとは一度対バンさせていただいたことがあって。

hime:対バンをする前から、私、Kick a Showさんもファンで。Twitterで「好きだ」みたいなことを言ってたら、それをご本人が見てくださっていて。たしか、それでライブを引き受けてくださったんですよ。それで繋がりが出来て「いつか一緒に曲を作れないかな」と思っていたらこんな形で実現できました。

ーーそういう経緯があったんですね。

hime:自分で歌っている〈I like it 好きな曲 気分ならどこでも高まっちゃう〉っていうところがあるんですけど。今回のEPには私が普段から好きなアーティストのvalkneeさんとKick a Showさんのお二人にそれぞれ参加していただいているんですが、Kick a Showさんは一緒に歌ってくれているので、それがさらに特別感というか、すごく嬉しくて。私はどこにいても、いつもKick a Showさんの曲を聴いたら気分が高まるので、それを一緒に曲を歌うことができて夢みたいでした。だから、このラインは思い出深いですね。

ーーラストの「Bring the noise」ですけど、この曲だけ歌パートがちゃんとあって、今回のEPでは最もアイドルらしい一曲ですね。一方で、タイトルの「Bring the noise」は、Public Enemyが1988年にリリースしたヒップホップクラシックの曲名と同じだったり、歌詞にはBeastie Boysの大ヒット曲〈Fight For Your Right〉やグローヴァー・ワシントンJr.の〈Just The Two of Us〉が入っていて、意図的にいろいろ仕込んでいるような気が……。

hime:他の曲でも、そういうプロデューサーの遊び心が入った楽曲は結構あるんです。

ーーこの曲は歌パートがキモだと思うんですが、特に〈君といたい ブレーキはNO!〉から始まるサビのところは、グッときました。

hinako:そこはすごく気持ちが入る。

risano:その部分が歌っていて一番好きかもしれない。なんか、感情が高まり過ぎて出ちゃうくらい。めちゃくちゃ大切に歌っていますね。

hinako:自分が歌っているところですけど、〈あの感情はなんだっけ 忘れそうだよ〉という部分があって。そこはプロデューサーに「舞台女優になった気持ちで歌え」って言われました。スポットライトが私にしか当たっていないっていう状況をイメージして、自分の中のアイドルを撃ち放つ、みたいな感じで。だから、この部分は舞台女優になった気持ちで「好き!」とか、そういう感情を思い浮かべながら歌っています。

risano:この曲は一人ずつの個性がすごく見えやすいというか、一番キャラが出ていると思いますね。私が好きなパートは〈愛だとか 恋だとか 答えのないことばかり考えて〉ってところかな。もう、本当にそうだよな! って思います。

hinako:たしかに答えはないね。女子って感じ。

ーーそういう女子っぽい部分も、アイドル曲ならではですね。

minan:私は〈包まるシーツはもうないとして〉のラインがすごく好きで。今までリリスクはラブソングを歌うにしても、若さを感じる歌が多くて。とにかく明るい曲も多かったんです。だけど今回は、「Bring the noise」や「Dance The Night Away」もそうなんですけど、少し年齢が上がった、大人っぽい歌詞が増えてきて。私にとっては無理せずに歌える歌詞になってて、それが嬉しいなって。

ーーそういう部分の変化も、今回のEPの大きなポイントかもしれませんね。今作を通して、自分自身やそれぞれのメンバー全員のラッパーとしての成長をどう感じていますか?

risano:レコーディングが終わって、完成した曲をその日に聴いた時に「え、これ誰?!」みたいな(笑)。誰がどこを歌っているかパッと分からないくらいに、みんなの成長というか、今までとは違う姿が、このEPでまた見れたなと思います。

hinako:たしかに。自分の成長だけじゃなくて、メンバーの成長がすごいと思いましたね。私ももっと頑張らなきゃって、モチベーションにも繋がるし。「みんなで出来たんだ」という達成感がありました。

yuu:私も自分で焦ってしまうくらい、今まで知らなかった表現をみんながしていて。聴き終わってすぐハッとさせられた。ライブでもっと自分を見せなきゃヤバい! ぐらいの感情になりましたね。

hime:私はメンバーたちの出せる声が一種類じゃないんだというのを今回すごく感じました。risanoが曲ごとに声を使い分けてたり。声が低いので、今までもスパイスというかアクセントにもなっていたんですけど、今回、さらに種類が増えていて。もちろん、それはrisanoだけじゃなくて、他のメンバーにも言えることで。今回、5曲とも全然タイプが違う上に、メンバーのラップのバリエーションも違うということが乗っかって、すごく飽きない1枚になったなと思いました。

ーー実際、5曲入りにしては非常に濃い内容ですよね。今回、valkneeやKick a Showといったアーティストが参加しましたが、今後、誰とやってみたいですか? 夢レベルの話でも構いませんので。

risano:夢で言っちゃっていいんですか(笑)? 私はRHYMESTERさんとPUNPEEさんとKICK THE CAN CREWさんですね。全部、超夢ですけど。

ーーRHYMESTERはレーベル<CONNECTONE>が一緒じゃないですか? 何とか叶えられたり……?

risano:(笑)。いや、でも、それは自分たちが最強になった時にやりたいですね。リリスクが国民に認められた時に、あちらから……。

hime:あっ、向こうから?!(笑)

risano:「一緒にやろうか」って思ってもらえるくらい、こっちも成長して。そのために頑張りたいですね。

ーーでは、今後、リリスクとしてもっと挑戦したいことってありますか?

hime:今回、valkneeさんやKick a Showさんのような新しいアーティストの方と制作させていただいて、メンバーそれぞれのラップの種類は増やせたかなと思ったので、今度はトラックメイカーさんと一緒にやってみたいですね。例えば、個人的にはDJ CHARIさんとかDJ TATSUKIさん、Sweet Williamさんなどにトラックをお願いして、ラップは一から自分たちだけで用意するという形にも挑戦したいです。

ーー自分たちで歌詞を書くことは、ラップグループとしては結構重要な要素にもなってくるわけですけど。歌詞の話に限らず、アイドルとしてのリリスクとラップグループとしてのリリスク、それぞれのバランスについてはどう考えていますか?

minan:変な意味ではないんですけど、「私たちはアイドルだ!」とか「私たちはラッパーだ!」とか、そこについては、あんまり考えているわけではなくて。自然体でやれることをやれるところまでやって、見てくれる人がどうやって見てくれるか? だと思います。自分たちがどう思うかよりも、見る人にどう思ってもらえるかを意識したいです。

yuu:逆に曖昧だからこそ「ラップ聴いたことないよ」っていうようなアイドルファンのみなさんに、ラップがちょっとでも刺さったら嬉しいし。その逆で、ラップが好きな人たちが、私たちをきっかけにアイドルを聴いてくれるようになったら嬉しいなって。

risano:ラッパーさんからみたら、「ラップアイドルでしょ?」みたいな感じで、聴いてくれなかったり、馬鹿にされたりすることもあるかもしれないんですけど。いざ聴いた時に「めちゃくちゃ格好良いじゃん! 馬鹿にしてゴメン!」と思わせるぐらい、スキルもちゃんと身に付けたいなと思います。その上で「リリスクってすごく可愛くない?」って思ってもらえたら、それって最強だし。それが、今のこの5人しか出来ないものかなと思っています。

lyrical school『OK!!!!!』

■リリース情報
『OK!!!!!』(5曲収録EP)
発売:2020年4月22日(水)
価格:2,000円

<収録曲>
1. OK!
作詞:ALI-KICK・大久保潤也(アナ) 作曲:上田修平・大久保潤也(アナ)編曲:上田修平
2. HOMETENOBIRU
作詞:valknee、作曲/編曲:ANTIC
3.Last Summer
作詞:木村好郎(Byebee) 作編曲:高橋コースケ
4.Dance The Night Away feat. Kick a Show
作詞:Kick a Show 作曲/編曲:Sam is Ohm
5.Bring the noise
作詞:MCモニカ(Byebee)・泉水マサチェリー(Byebee)  作曲/編曲:泉水マサチェリー(Byebee)

■ツアー情報
『lyrical school SHORT TOUR 2020 “OK!!!!!”』
大阪公演
2020年5月17日(日)開場 15:00 開演 15:30 @大阪ANIMA
名古屋公演
2020年5月23日(土)開場 16:00 開演 16:30 @伏見ライオンシアター
東京公演
2020年5月30(土)開場 15:00 開演 15:30 @代官山UNIT
※コロナウイルスの影響で日程が変更される可能性があります
その他最新情報についてはオフィシャルHPをご覧ください。

■オフィシャルHP/SNS
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<締切:5月8日(金)>

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