『コーチェラ・フェスティバル』はなぜ特別な存在になったのか ドキュメンタリーを踏まえて紐解く

「アーティストにとっての超巨大広告」へと変貌した『コーチェラ』

 2011年からインターネットでの生配信を続けている『コーチェラ』だが、通信環境及びスマートフォンの発達、そしてSNSの台頭によってその価値が大きく変貌する。誰もが手軽にパフォーマンスを観ることが出来るようになり、その様子を逐一SNSで共有していく。つまり、『コーチェラ』でのパフォーマンス自体がアーティストにとっての超巨大な広告へと変貌を遂げたのである。

 その結果、2018年のビヨンセを筆頭に、「世界中が観ている」ということを前提にしたパフォーマンスが行われるようになっていく。そのパフォーマンスの内容がSNS上で一気に拡散され、翌日のニュースにまで取り上げられるようになるのだ。

 多様な音楽性と、それを受け入れられる観客があり、そこで披露するパフォーマンスが世界中の人々に中継される。常に新しい要素を取り入れ、今を生きる人々へメッセージを発信するポップカルチャーにおいて、ここまで理想的な環境はそうそう無いだろう。20年という節目を超えたこれからも、『コーチェラ』はアーティスト・観客にとってさらに特別な存在になっていくのではないだろうか。

■ノイ村
92年生まれ。普段は一般企業に務めつつ、主に海外のポップ/ダンスミュージックについてnoteやSNSで発信中。
シーン全体を俯瞰する視点などが評価され、2019年よりライターとしての活動を開始
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Twitter : @neu_mura

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