MOSHIMO、新体制初アルバム『噛む』での挑戦 「自分をもっと強く出さないと目指すところに進めない」

MOSHIMO『噛む』での挑戦

「お客さんとの絆が深まっている」

――収録曲について聞かせてください。「もっと」には、“もっと自分らしくありたい”という強い感情がリアルに描かれていて。まさに現在のMOSHIMOのモードが現れている楽曲だなと。

MOSHIMO「もっと」MV

岩淵:ホントにそういう感じの曲ですね(笑)。一人の女性として、表情豊かな人でありたいというか……。私もそうですけど、強がっちゃう女の子って、自分を出しづらいと思うんですよ。仕事が忙しかったり、友達関係で悩むこともあるだろうけど、好きな人に甘えたい時だってあるし。ちょっと恥ずかしいことがあっても、「それもいいんじゃない?」って言ってあげたいんですよね。私自身も、2019年はいろいろとやらかしちゃったんですよ、バンド活動でもプライベートでも(笑)。性格的にも“120かマイナスか”みたいな感じなので、日々いろんなことがあって。

――それって「熱帯夜」の歌い出し(〈フラッシュバック 昨日やらかした〉)みたいな感じですか?

岩淵:そうです(笑)。すごい飲んで、パッと気付いたら「なんだ、この状況は!?」っていう。ヤバいですよね。

一瀬:最近のバンドマンは、軽く一杯飲んで解散みたいな人も多いんですけど(笑)。

岩淵:それだと寂しいんですよ。飲んでる時に本音が出てくることもあるし、終電過ぎた頃から面白い話がバンバン出てくるから(笑)。

一瀬:僕はわりと早めに帰りますけどね(笑)。岩淵は最後までいることが多いみたいで。

岩淵:そのことで先輩に可愛がってもらえたりもするんですけどね。ただ、身体が付いていかなくて、調子が狂っちゃうこともあったから、そこは気を付けないとダメだなって。そもそも健康じゃないとライブは出来ないし、ワンマンで2時間やって、ヘバったりするとカッコ悪いじゃないですか。

――「TOKYO」からも“落ち込む暇なんてない”“楽しいことをやりまくりたい”という気分が伝わってきました。

岩淵:「東京」というタイトルの曲って、ちょっと切なかったり、暗い感じが多い気がするんですけど、私は東京が好きだし、前向きな曲にしたかったんですよね。「TOKYO」はメンバーが抜けて、超絶「どうしよう?」ってなってるタイミングで書いたんです。仲のいいバンドの人と話して、「不安はあるけど、お互いがんばろう」って励まし合って。その帰り道で、「これだけたくさんの人がいて、私はその一部にすぎない。私の悩みなんて、誰も興味ないだろうな」って思ったんです。それぞれに背負っているものがあるだろうし、自分のことで精一杯だと思うけど、そういう人たちを振り向かせられる人になりたいなと。要は「悩むよりも、動くほうが早い」ということなんですけど。

MOSHIMO「TOKYO」

――ネガティブを振り切って前に進もうとする姿勢が、東京の街と重なったのかも。

岩淵:東京って、がんばってるのがデフォルトというか、切磋琢磨しているイメージがあるんですよね。私もここで生き抜きたいし。

一瀬:東京出身の人って、意外と少ないじゃないですか。自分たちもそうですけど、地方から目標を持って上京してきた人が多いし、みんなが戦っているようなイメージもあって。

――そして「シンクロ」はヘヴィなギターサウンドと〈二人の関係は 交わらないまま〉という切ない歌詞が印象的です。これ、ラブソングですか?

MOSHIMO「シンクロ」MV

岩淵:ラブソング……なのかな。私が欲しかった言葉をもらえなかったし、「こいつみたいな男、絶対、二度と捕まえん!」という感じですね(笑)。カッコつけるのが苦手なので、そのとき思ったことをそのまま書いてるというか。

一瀬:それはアレンジも影響してますね。「シンクロ」の場合だったら、Aメロの淡々とした感じだったり、Bメロでスッと落ちるところだったり。感情と歌詞がリンクしているので、それがサウンドにもつながるというか。

岩淵:ライブでも、自分が感じてることをパッと言うほうが、みんなも「うんうん」って頷いて聞いてくれるんです。キレイなところだけではなくて、自分のイヤなところもどんどん出していきたいなと。

――そういうスタンスは、結成当初から一貫しているんですか?

岩淵:いや、そんなことないです。前はもっと丁寧というか(笑)、「ライブに来てくれてありがとうございます」なんて言ってたんですよ。でも、ある時「友達と飲んでる時と、ライブの時の自分は全然違うな」と思って。友達と飲みながらガンガン言い合ってる時は丁寧な言葉なんて使わないし、ライブでもそういう感じで本音を話したほうがいいんじゃないかなって。お客さんを仲間だと思って、好きなことを言い合うというか……。お互い、いろんなことがあるじゃないですか。付き合ったり別れたり、病気したり、何か新しいことを立ち上げたり、失敗したり。そういうことをどんどん話せる存在でありたいなと。それが2018年くらいなんですけど、ライブの雰囲気もすごく変わりましたね。

一瀬:3年前くらいのライブに比べたら、別人みたいだと思います。今は岩淵が引っ張ってくれて、お客さんとのコミュニケーションも濃くなって。絆が深まっているなって実感してますね。

岩淵:女の子のお客さんが増えたんですよ。(地元の)福岡なんか、たぶん7対3くらいで女の子が多くて。「今年の目標は、いい人を見つけること。付き合うところまでいかなくていいから、やり取りを楽しむところまでいきたい!」みたいな話をしてます(笑)。

――リスナーとしても、オーディエンスに率直に語り掛けるボーカリストに惹かれることが多い?

岩淵:そうかもしれないです。TOSHI-LOWさんもそうだし、細美(武士)さんもそうだし。幡ヶ谷再生大学復興再生部(TOSHI-LOWが立ち上げた東日本大震災の復興支援を主な目的とした非営利活動団体)に参加しているんですが、皆さんと話をさせてもらうたびに「すごいな」と思うので。

「泥臭くライブを続けている姿も自分たちから伝えていきたい」

――「バンドマン」の歌詞もビックリするほど率直ですよね。〈3B〉(バンドマン、バーテン、美容師)の男と付き合うのは注意だぞ! っていう。

MOSHIMO「バンドマン」

岩淵:バンドマン、好きだったんですよ(笑)。

一瀬:〈3B〉はちょっと昔の言い方だから、若い子には何のことかわからないかもしれないけど、それがいいなと(笑)。3Bとは付き合っちゃいけないっていう。

岩淵:そういうわけではないんだけどね(笑)。バーテン、美容師にも素敵な人はたくさんいると思うので。ただ、バンドマンに限っていうと、いい人とクズに分かれる気がして。

一瀬:ハハハハ。

岩淵:それでもバンドマンは魅力的なんですよ。突出したものを持っていて、人間としても素晴らしくて、みんなを引っ張っていく力を持った人を見ると、「すごいな」と思うので。

――「誓いのキス、タバコの匂い」は、独唱から始まるミディアムチューン。冒頭の歌、素晴らしいですね。

岩淵:ありがとうございます。

一瀬:このアレンジになるまで、いろいろ試したんです。テンポを上げたバージョンもあるんですけど、最終的にこのテンポになって。

岩淵:ミドルバラードを入れるのは勇気が必要でしたね。前作の『TODOME』はかなりラウドだったから、(ミドルバラードによって)バンドっぽくないと思われたらイヤだなって。それもボーカルの質感次第だなと思ったから、ライブの雰囲気で歌えば大丈夫かなと。こういうトライをやっていかないと、幅が広がらないですからね。

MOSHIMO「誓いのキス、タバコの匂い」MV

――岩淵さんの声質はもともとポップなので、「誓いのキス~」のような歌モノも似合いますよね。

岩淵:それがコンプレックスだった時期もあるんですけどね。どんなにヘヴィな音でも、自分が歌うとポップになってしまうので。「かわいい」みたいに言われるのがイヤで、「うるせえ!」って思ったりしてました(笑)。

――(笑)。今回の『噛む』は、ポップさと生々しさ、熱さが混ざって、今までとは違う雰囲気だと思いますけどね。

岩淵:良かった。そう感じてもらえたら、一歩成長ですね。以前はバンドとして見られないこともあったから。

一瀬:アコースティックグループみたいなイメージがあったんですよね。実際は泥臭くライブを続けているバンドなので、その姿も自分たちから伝えていきたいです。

――次の目標は9月のZepp DiverCity公演の成功ですね。

岩淵:はい。今はライブができないので、毎日が楽しくないですけど。

一瀬:ライブがない分、曲を作ったり、映像を作ったりしていて。

岩淵:自分にノルマを課してるんですよ、100曲作ろうって。ドーム公演をやったことがある先輩と飲む機会があって、「おまえ、“これ以上は絶対にムリ。このまま死んでもいい”と言えるほど曲を書いたことある? 俺はそこまでやったよ」と言われて、何も言い返せなかったんですよ。そこまでやらないと生き残れないんだなと思ったし、いい言葉をもらったなって。そういう人たちと対等に話せないのが悔しいし、絶対やろうと思ってます。

MOSHIMO

MOSHIMO『噛む』

■リリース情報
MOSHIMO『噛む』
3月18日(水)発売  ¥2,000(税別)
<収録曲>
1.もっと
2.熱帯夜
3.TOKYO
4.シンクロ
5.バンドマン
6.誓いのキス、タバコの匂い
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『噛む』配信・サブスクリプションはこちら

■ツアー情報
『”NEW ALBUM「噛む」RELEASE ONEMAN TOUR「噛みしめる」”』
5月23日(土)仙台CLUB JUNK BOX
5月31日(日)札幌BESSIE HALL
6月14日(日)広島SECOND CRUTCH
6月20日(土)福岡DRUM LOGOS
6月22日(月)下北沢SHELTER
6月27日(土)新潟CLUB RIVERST
8月20日(木)梅田CLUB QUATTRO
8月21日(金)名古屋ELL
9月12日(土)Zepp DiverCity TOKYO

■関連リンク
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