日向坂46 上村ひなの、天才的な大喜利力とまっすぐな強さ 16歳の誕生日を機に魅力を深堀り

 一方、バラエティ番組で上村は、持ち前のセンスやいい意味での身体能力を活かし数々の笑いをおひさまに提供してきた。上村は自身について「運動が全般ダメなので...…」と語っているが、『ひらがな推し』時代に企画された「誰よりも高く跳べ!居残り走り高跳び対決!」ではバーを手で掴んで飛ぶ気配をまったく感じさせなかったり、バーの下に潜りそうになるなどで番組MCを務めるオードリーを爆笑させていた。1stシングル『キュン』ヒット祈願では一緒に走った加藤史帆に「若林(正恭)さんが2人(小坂・高本彩花)をひいきしている事についてどう思う?」と聞かれると、上村は「ちょっとないんじゃないかな...…」とストレートに返して、スタジオ中を笑いに包んだ。

 そしてなんと言っても上村が才能を爆発させたのは『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)での「センス一致!若様チョイス」の大喜利企画だろう。「(若林が)収録でスベッた時なんと励まされたい?」という問いに対し、上村は「元気田支店長(げんきだしてんちょう)」と変化球で打ち返し、スタジオを爆笑に包んだ。続けて、「若林が春日とコンビを組んでいる最大の理由は?」という問いに「心友だから」と答え、ここでもクリーンヒット。これに若林は「クソ……あいつとはタイマンで大喜利対決する事になるな……」とコメントする場面もあった。その後に出された「とある芸人ランキングで若林がダントツ1位を獲得。さてどんなランキング?」というお題には「○カバヤシさん」とただただ秀逸な解答でまたもやメンバーたちを笑わせる。そして「若様のテンションが上がる一言は?」というお題に対し「ヘイ!」とだけ放ってスタジオを爆笑させた。この上村のあまりにも高い打率の高さに、若林が「上村はすごいな……。上村はちょっとね、お前はじき見つかるだろうな。忙しくなるぞ……」とボソッと呟いたのは、番組の中でも隠れた名場面と言っていいのではないだろうか。

 上村のキャッチコピーは「いつでもどこでも変化球、ひなのなの」。大喜利のお題を変化球で打ち返す能力を考えると、彼女のことを的確に表現している名コピーだと思う。しかし小坂は上村について「変化球でもあるしストレートでもある。とても強い人!!」と印象を語っていた。確かにソロ曲「一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない」を力強く歌う姿は“強さ”を感じさせてくれるし、尊敬する小坂を素直に称賛するなど、まっすぐな一面も持ち合わせている。

 「同期がいなくて、すごく寂しくて、なんで私は1人なんだろうと悩んだ時も最初の頃はあった」と語ったこともあった上村だが、つい先日、髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世という3人の同期メンバーが加入した。同じ「坂道合同オーディション」を受け、一足早くメンバーとして活躍していた上村だがそんな3人を「同じオーディションを受けた仲間ですし、マブダチです」と“心友”として紹介していた。その姿は新たに加わった3人を、心の底から歓迎しているように思えた。“センターになれるくらい魅力のある素敵なアイドルにならなきゃ”と語る上村と新3期生は、先輩たちの背中を見ながらアイドルとして輝きを増していくことだろう。今後の成長が楽しみでならない。

■中山洋平
1983年生まれ。フリーランスの編集・ライター。ボウリング、洋服、ギター、サウナ好き。Twitter

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