IDOLiSH7 和泉一織が併せ持つ、大人びた部分と純粋さ 巧みに音楽表現を変化させるボーカリストとしての力量も

 また、七瀬陸とのグループ内ユニットの楽曲である「Fly away!」や「解決ミステリー」では、七瀬のボーカルとの化学反応によって普段はクールな印象から一転、甘さすら感じさせる歌声でキュートなコンビに変身する。性格的には正反対にも見えるが、息のあった掛け合いからも、七瀬とのコンビネーションは抜群であることがわかる。このギャップも彼の音楽的な魅力の一つだろう。

和泉一織、七瀬陸「Fly away!」
和泉一織、七瀬陸「解決ミステリー」

 グループ楽曲でのボーカルは、本人のグループでの立ち振る舞いによく似ている。「ナナツイロ REALiZE」や「WiSH VOYAGE」など、七瀬がセンターとして強く牽引する楽曲においては、そっと傍に立ちセンターを支え、柔らかな歌声で曲の伝えるべき大事な部分を歌い上げて楽曲を完成させている。

IDOLiSH7「ナナツイロ REALiZE」
IDOLiSH7「WiSH VOYAGE」

 また「Sakura Message」「ハツコイリズム」といったIDOLiSH7には珍しい曲調のバラードでは、ソロ曲でも見せた繊細な表現力を生かし、曲の情緒をより味わい深いものにしている。

IDOLiSH7「Sakura Message」
IDOLiSH7「ハツコイリズム」

 もちろん「Perfection Gimmick」も、彼を語る上では欠かすことができない。IDOLiSH7における和泉一織がどのようなアイドルなのか、彼の思い描く彼自身はどのような人物なのか、和泉がIDOLiSH7を牽引し体現するとどうなるのか、ほんの3分半で理解することができる。いつもの彼らとは違う、新しい魅力を引き出した貴重な一曲だ。

IDOLiSH7「Perfection Gimmick」

 さらに最新曲「Mr.AFFECTiON」で、IDOLiSH7はクールでパワフルな一面を見せたが、ここで和泉一織の歌声にハッとさせられた人も多いのではないだろうか。スピード感のある楽曲にフィットした力強いボーカルは、彼の高い歌唱力をあらためて実感させるものだった。

IDOLiSH7「Mr.AFFECTiON」

 このようにソロ・ユニット・グループといった活動形態や、楽曲のジャンルに合わせて自らの音楽表現を巧みに変化させる彼は今、未来にどんなビジョンを描いているのだろう。自己プロデュースに長けた彼が、今後どのような成長や変化を見せていくのか。大人びた部分とまっすぐで純粋な表情を併せ持つ彼だからこそ、様々な可能性を期待してしまう。まだ10代ーー今後もアイドル・和泉一織から目が離せない。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる